29日の香港市場は値下がり。
主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比104.50ポイント(0.39%)安の26786.76ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が22.82ポイント(0.22%)安の10547.00ポイントとそろって反落した。
売買代金は788億1300万香港ドルとなっている(28日は809億8600万香港ドル)。
香港経済の先行き不安が改めて意識される流れ。
香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は29日、今週31日に発表される7~9月期の域内総生産(GDP)速報値について、マイナス成長となる可能性を指摘した。
このほか、決算発表した一部銘柄の業績不振も重しとなっている。
もっとも、大きく売り込む動きはみられない。
米中通商摩擦の緩和期待が強まっている。
トランプ米大統領は28日、「第1段階の通商合意はとても大きなものになる」と記者団に語った上で、合意文書の署名に向けた最終調整は計画よりも早く進んでいるとの認識を示した。
また、米通商代表部(USTR)は同日、今年12月28日を猶予期限とする「一部中国製品への関税適用除外措置」について、最長1年の延長を検討すると発表している。
ハンセン指数の構成銘柄では、マカオ・カジノの金沙中国(サンズ・チャイナ:1928/HK)が1.7%安、不動産事業を中核とする香港コングロマリットの太古A(スワイヤ・パシフィックA:19/HK)と乳製品メーカー中国大手の中国蒙牛乳業(2319/HK)がそろって1.6%安と下げが目立った。
このほか、金融大手グループのHSBC(5/HK)が1.3%安と続落している。
28日報告した7~9月期決算は18%減益となり、予想以上に悪化。
香港デモの長期化が響くなか、目先の業況改善は厳しいとの見方が出ている。
HSBC株は指数寄与度が大きいため、1銘柄でハンセン指数を35.4ポイント押し下げた。
業種別では、香港拠点の金融がさえない。
東亜銀行(23/HK)が1.9%安、申万宏源香港(218/HK)が1.7%安、恒生銀行(ハンセン銀行:11/HK)が1.1%安で引けた。
中国証券セクターも安い。
華泰証券(6886/HK)が2.3%、中信証券(6030/HK)が1.9%、広発証券(1776/HK)が1.7%、中国銀河証券(6881/HK)と海通証券(6837/HK)がそろって1.2%ずつ下落した。
広発証券は29日、中信証券と海通証券は30日にそれぞれ四半期決算を報告する。
半面、好業績銘柄の物色は続く。
豚肉生産で世界トップの万洲国際(WHグループ:288/HK)が5.8%上昇した。
1~9月期決算の37%増益が材料視されている。
同社は中国のほかに米国で事業展開しているだけに、米中関係の改善も好感された。
このほか、黒字転換した通信機器・設備メーカー大手の中興通訊(ZTE:763/HK)が3.5%高と値を上げている。
一方、本土市場は3日ぶり反落。
主要指標の上海総合指数は、前日比0.87%安の2954.18ポイントで取引を終えた。
ハイテク株が安い。
不動産株、素材株、運輸株、証券株、自動車株、インフラ関連株なども売られた。
半面、食品・飲料株の一角はしっかり。
医薬品株も買われた。
【亜州IR】