[東京 28日 ロイター] - 岸田文雄首相は28日、総合経済対策の閣議決定後に記者会見し、政府が検討を進める防衛力の強化は内容によって財源を考える必要があると述べた。日銀の金融政策は為替だけでなく総合的に判断されるものと指摘した。
政府が検討中の防衛3文書改定と防衛力増強は、財源を巡って与党内でも意見に乖離がある。首相は「防衛力強化といっても中身はさまざま。恒久的に実施するものなのか、一定期間契約を結んで充実させるものなのか、内容によってふさわしい財源を考えていかなければならない」とし、財源も内容次第との方針を示した。
その上で「内容を積み上げ、それに応じて予算の額を明らかにし、そして財源を考える。この三つを一体的に検討する作業を進めている」と語った。
<為替変動を前に経済強靭化図る>
日銀の金融緩和維持が円安と物価高に拍車をかけた見方もある中、現行の大規模な金融緩和を続けることに国民の理解を得らえるかとの質問もあった。首相は「日銀は継続的で安定的な物価上昇を実現するために政策を行っている」と指摘。金融政策は為替だけではなく、物価や景気、国民の金利負担など「総合的に検討し判断していくべきもの」との見解を示した。
一方、政府として「投機的かつ急激な為替変動は誰にとっても好ましくないとの判断のもと、日銀と意思疎通しながらしっかり注視していく」とし、「過度の為替変動には適切に対応する」と強調した。
同時に「為替の変動を前に経済の強靭化を図る必要がある」とも述べ、中小企業の輸出支援や価格転嫁の促進、インバウンドの拡大などの政策を用意していると説明した。
首相は、円安を活かして国内への投資を呼び込むと改めて表明。デジタルや環境といった新たな分野への投資を促し、生産で9兆円、輸出で2兆円の効果を出す考えを示した。
柱である光熱費の価格高騰対策は、平均的な家庭で来年前半に4万5000円の支援になると説明した。
3期目が始まった中国・習近平政権との向き合い方については「主張すべきは主張し、責任ある行動を求めるのが大事」とした一方、建設的で安定的な日中関係を双方の努力で構築したいと述べた。そうした考えのもと、日中首脳会談の具体的日程についても考えていきたいと語った。
(竹本能文、杉山健太郎 編集:石田仁志)