[リヤド/ワシントン 30日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)貿易相は30日、テレビ会議を開催し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)に対処するため、開放的な市場を維持し、医療用品や医療設備などの必需品の持続的な流通を確保することで合意した。
共同声明では、必需品の取引や医療設備および医薬品の追加生産に向け「即座に必要な措置」を講じると表明。あらゆる緊急措置は世界貿易機関(WTO)の規則に従い「対象を絞り、均衡がとれていて透明性があり、かつ一時的な措置」でなければならず、貿易に対する「不必要な介入」を避けるべきとした。
また不当な価格吊り上げを阻止し、手頃かつ公平な価格での供給維持に努めると指摘。「パンデミックは世界的な課題であり、協調的な対応が必要だ。個人でも集団でもパンデミックに取り組み、国際貿易と投資への影響緩和に努めると共に、自由かつ公正で、差別がなく、透明で予測可能な安定的な投資・貿易環境を提供し、開放的な市場を維持するために引き続き協力していく」とした。
特に透明性の重要性を強調し、世界的な供給網を維持するために取られた貿易関連の措置についてWTOに通知することで合意。必要に応じて再度会合を開くとした。
ただフランスやドイツ、インドなどG20加盟国を含む複数国が制定した医薬品および医療用品の輸出禁止措置について明確に停止を求めるまでには至らなかった。
テレビ会議に出席した梶山弘志経済産業相は声明で、「危機を克服し、コロナウイルスの流行が終息したときに経済活動を回復させるためには医療や日常の必需品を国際的に供給し続けることが非常に重要だ」と述べた。
ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、テレビ会議で、今回のパンデミックは安価な医療用品の生産と供給を外国に過度に依存していた米経済の戦略上の脆弱さを露わにしたと発言。「バイ・アメリカ」規則には言及しなかったが、米政府がサプライチェーンの多様化を目指し、国内での生産体制を強化する考えを示した。
世界銀行は30日、G20貿易相テレビ会議向けの声明で、新型ウイルスとの戦いに不可欠となっている医療用品や食品などの主要製品に新たな輸出規制を課さないよう求めた。
関係筋によると、G20財務相・中央銀行総裁は31日、新型ウイルス危機への協調対応を協議するため、テレビ会議を開催する。
*内容を追加して再送します。