[シドニー 31日 ロイター] - オーストラリアのソブリン格付け「AAA」を巡るリスクが債務拡大を背景に高まっている。30年ぶりのリセッション(景気後退)に陥る可能性のある経済の支援で政府が支出を拡大するためだ。
アナリストは総じてオーストラリアがしばらくは「AAA」格付けを維持するとみているが、債務の膨張で格付け見通しが「安定的」から「ネガティブ」に引き下げられる可能性があるとみている。
モリソン豪首相はこれまで、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済危機を回避するため、3200億豪ドル(1977億3000万米ドル)の財政支援を約束。これは向こう15カ月で年間国内総生産(GDP)の15%に当たる3000億豪ドル超を借り入れざるを得ない可能性を意味する。
ウェストパックの金利戦略部門責任者、Damien McColough氏は「懸念の主な要因は財政状態だ。現在の推定による債務負担は向こう12─18カ月でほぼ倍増しそうだ。AAA格付けが直ちに脅威にさらされることはないが、リミットが確実に近付いているというのがわれわれの感覚だ」と述べた。
格付け大手のS&Pはこのほど、刺激策自体が豪州の信用度を損なうことはないだろうと表明。政府が依然として中期的な財政規律にコミットしていると信じていると付け加えた。
S&Pは31日、コメントを避けた。ムーディーズとフィッチからは今のところコメントを得られていない。