[16日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した3月の雇用統計は、就業者数が前月比5900人増えた。アナリストは4万人減少すると予想していた。失業率は前月の5.1%から5.2%にわずかに上昇。アナリストは5.5%への悪化を見込んでいた。
いずれも予想を上回る数字となったが、連邦統計局は3月の雇用統計について、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるための封鎖措置が導入される前の2週間(3月1日━14日)しかカバーしていないため、新型コロナの初期段階の影響しか反映していないと指摘した。
就業者数が増加したのは、パートタイム就業者数が6400人増加したためで、フルタイム就業者数はわずかに減少した。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)のエコノミスト、カイシン・オウヨン氏は「これらの数字は4月に急激に悪化する公算が大きい。失業者が大幅に増加し、失業率は年央までに11.75%に達すると予想している」と述べた。
3月の労働参加率は66.0%で、前月と同水準だった。
NABのオウヨン氏は「労働参加率も今後数カ月間に低下すると予想している。新型コロナの感染が拡大する中で、求職活動を阻まれたり、やる気をなくす向きがいるからだ」との見方を示した。
オーストラリアではこれまでに6500人近くの新型コロナ感染が確認されている。
ロイターのアナリスト調査によると、2020年の豪国内総生産(GDP)はマイナス3.3%に沈むと予想されている。ほんの数カ月前にはプラス2.3%と予想されていた。
ウェストパックのチーフエコノミスト、ビル・エバンズ氏は、政府の補助金がなければ失業率は6月末に17%まで悪化するが、政府の対策を踏まえると「9%までの上昇にとどまる」と推定している。
連邦統計局は新たな週間ベースの雇用・賃金データを発表する予定で、アナリストらは労働市場の実態をよりタイムリーに見極めることができるようになるとみている。
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