[ジュネーブ 30日 ロイター] - 国際労働機関(ILO)は30日、2020年下期の世界の労働市場の見通しは「かなり不透明だ」と指摘し、年内に雇用が新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復することはないとの見方を示した。
ILOは直近の報告書で、上期の世界全体の就労時間の縮小について「当初予想よりもかなり深刻」だったと指摘した。南北アメリカ大陸が特に打撃を受け、就労時間は18.3%減少した。
世界全体では、新型コロナの影響で、第2・四半期に就労時間は14%縮小した。これは、フルタイムの労働者4億人が職を失った計算になる。
第4・四半期の就労時間は4.9%(1億4000万人分のフルタイム雇用に相当)減少すると予想。新型コロナの感染第2波が押し寄せるという悲観シナリオの場合では、就労時間は11.9%(3億4000万人分のフルタイム雇用に相当)減少する見通し。
ILOのガイ・ライダー事務局長は会見で、新型コロナの影響で見通しを大幅に修正したと述べ、労働市場の回復は容易ではなく、急回復は見込めないと説明した。
報告書は、発展途上国で雇用が特に悪化していると指摘している。また、約93%の人が引き続き、新型コロナの影響で就労制限が導入されている国で生活しているという。
ライダー氏は、新型コロナは女性の就労に特に大きな影響を及ぼしていると指摘し、女性は食品や宿泊、小売り、不動産など、新型コロナの打撃が特に深刻な業種で働いている割合が高いと説明した。