[ワシントン 2日 ロイター] - トランプ米大統領は2日未明、自身とメラニア夫人が新型コロナウイルス検査で陽性だったとツイッターへの投稿で明らかにした。11月3日の米大統領選挙まで残すところ1カ月となり、状況は不透明さを増している。
自身の側近が検査で陽性と判定されたことを受け、検査を受けていた。トランプ氏は直ちに隔離し回復に向けた手続きに入るとし、「われわれはこれを乗り越える」とツイートした。
専属医のショーン・コンリー氏は声明で「(トランプ氏とメラニア夫人は)現時点で体調は良好だ。回復するまでホワイトハウスの住居にとどまる予定だ」とし、トランプ氏は滞りなく執務を行う見通しと説明した。
トランプ氏は、74歳という年齢に加え、肥満気味と考えられており、症状が重くなるリスクが高い。大統領就任以降、良好な健康状態を保ってきたが、定期的に運動するとか、健康に配慮した食習慣を心掛けているという話は聞かない。
トランプ氏は、新型コロナ流行の初期段階で事態を深刻に受け止めず、ウイルスはいずれ消えるとの見方を繰り返し示していた。
いまや米国の新型コロナ感染症による死者は20万人を超え、世界で最も感染者の多い国となっている。それでも、トランプ氏はマスクをほとんど着けず、大統領選の対抗馬のバイデン前副大統領をはじめ、きちんとマスクを着用している人々を冷やかしていた。
トランプ氏のほかにも政府のトップに感染者がいる可能性があり、ホワイトハウスの当局者は接触者を追跡していると明らかにした。
<米大統領選に新たな波乱要因>
トランプ氏は1日夜、パンデミックの終わりが視野に入ったとの見方を示していた。しかし、時を置かずして側近のホープ・ヒックス氏が検査で陽性だったとのニュースが飛び込んできた。
ヒックス氏は、トランプ氏の信頼が厚く、大統領専用機で9月29日にオハイオ州クリーブランドで開かれた米大統領選の候補者討論会や30日のミネソタ州での選挙イベントに随行していた。
トランプ氏はこれまで定期的に検査を受けてきた。公衆衛生の専門家から大規模な対面集会を控えるようアドバイスされていたが、大統領選挙が近づき、最近は国内各地を精力的に遊説していた。
ホワイトハウスは2日のトランプ氏の新たな予定を発表。そこには、計画していた激戦州のフロリダ州行きは含まれていなかった。バイデン氏は2日、同じく激戦州のミシガン州で選挙活動する予定だ。
トランプ氏は9月29日の第1回米大統領選候補者討論会で、ポケットからマスクを取り出し「必要な時はマスクを着ける」と述べた。そして「彼(バイデン氏)のようにマスクはしない。見るたびに彼はマスクをしている。200フィート離れたところで話せるのに、見たこともないほど大きなマスクをして登場した」とバイデン氏をからかった。
トランプ氏のコロナ陽性の報道を受け、S&P総合500種株価指数先物 (SPX)
世界ではすでに要人の感染事例がでている。英国のジョンソン首相は3月下旬に感染が判明し入院、症状が悪化し一時集中治療室(ICU)に入った。回復し公務に復帰するまで数週間を要した。
カナダのトルドー首相は、夫人が感染したため3月に自主隔離した。
トランプ氏と同じくコロナの脅威を軽視していたブラジルのボルソナロ大統領も7月に感染した。
EUのミシェル大統領は2日、トランプ氏とメラニア夫人の早期回復を願うとツイートした。
*映像を追加しました。