[リオデジャネイロ 29日 ロイター] - ブラジルで29日、新型コロナウイルス感染症による死者数が累計で40万人を突破した。米国に続き世界2番目。専門家はワクチン接種の遅れや制限措置の緩和により、1日当たりの死者数が数カ月にわたって高止まりしかねないと警告している。
保健省によると、死者数はこの日3001人増え、累計で40万1186人となった。
年初からのコロナ感染急拡大で各地の医療施設は逼迫し、1カ月余りの期間に10万人が死亡。ブラジルを起源とする感染力が従来型の2.5倍とされる変異ウイルスが感染拡大を加速させてきた。
1日当たりの死者数は4月上旬に4000人を超えピークを付けた。その後はやや減少しており、多くの地方自治体がロックダウン(都市封鎖)措置を緩和している。
ただ、専門家はワクチンだけではウイルスを抑制することができないため、この緩和によって向こう数カ月間は死者数が増加し続けるだろうと警告。2人専門家は、1日当たりの死者数は今後も平均で2000人を上回ると予想した。
そのうちの1人、コロナに関する全国調査を率いた疫学者ペドロ・ハラル氏は制限緩和により「ブラジルは昨年の過ちを繰り返すことになる」と警鐘を鳴らした。
インドは1日当たり死者数平均で最近、ブラジルを超えたが、累計ではブラジルの方が多い。ブラジルの人口はインドの6分の1しかない。
ブラジルの国立生物医学研究所、オズワルドクルズ財団(FIOCRUZ)の研究員、ディエゴ・ザビエル氏は、1回のワクチン接種を終えた国民はまだ約13%と感染抑制に十分な水準ではないため、行動制限が必要だと指摘した。
また、ワクチン接種が大幅に加速しない限り、1日当たり2000人以上の死者が常態化するだろうと予想した。
エミリオ・リバス感染症研究所のジャマル・スレイマン医師は、死者の40万人突破は「大統領をはじめとする政府の管理能力の欠如が主因だ」と対応の不備を批判した。
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