[バンコク 12日 ロイター] - タイ中央銀行は12日、新型コロナウイルスの感染がこのところ急速に拡大する中、観光に依存する国内経済は大きな下振れリスクに直面しており、ベースラインの見通しを下回る成長となる可能性があると指摘した。
タイは現在、これまでで最も深刻な感染拡大に見舞われており、今月に入って新規感染者数と死者数が急増。首都バンコクと9つの県で、12日からより厳格な感染抑制策が導入された。
中銀のシニアディレクター、Chayawadee Chai-Anant氏はアナリストとの会合で、新型コロナ流行に伴う制限措置が予想以上に経済活動に影響を及ぼす可能性があると説明。
また、感染長期化とウイルス変異が、集団免疫の達成や経済再開計画を遅らせ、信頼感を落ち込ませかねないと述べた。
タイ中銀は先月、外国人観光客数の予想を引き下げるとともに、2021年の国内総生産(GDP)伸び率予想を3.0%から1.8%に、22年は4.7%から3.9%へと下方修正した。
中銀は金融政策は引き続き緩和的になるとしたほか、感染拡大の影響を緩和するために必要ならば政策手段を利用する用意があるとした。
Mathee Supapongse副総裁は、感染状況を注視し、既存の対策で十分なのかどうか検討するとした上で「金融、財政、公衆衛生措置を適切に組み合わせるべき」との見方を示した。