[ロンドン/エルサレム 5日 ロイター] - 英国とイスラエルは、新型コロナウイルスのオミクロン株拡大による感染者急増で検査キットの確保に不安が生じる中、検査方針の見直しを行った。限りある医療資源を有効活用するとともに、検査施設の負担を軽減する狙いがある。
英保健安全保障庁(UKHSA)は検査需要の急増を受け、PCR検査の1日当たりの予約受付枠を12月半ば以降10万人分増やし、抗原検査(LFD)も含めると、従来の2倍に当たる1日90万人の検査を可能にした。
UKHSAは5日、英イングランドを対象に検査方針を見直し、迅速抗原検査で新型コロナ陽性と判定された場合でも、無症状ならばPCR検査で結果を確定することを求めないと発表した。
英統計局の5日公表の推計によると、12月31日終了週にイングランドでは15人に1人の割合で感染者が出ており、過去最高の比率となった。
PCR検査は研究室で検体を調べる必要があり、変異株の種類を特定できる。一方、抗原検査のLFDは自宅で利用でき、30分内に判定が出る。
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のジョン・エドモンズ教授は、LFD検査の陽性判定を「PCRで確定する必要はない。時間の無駄で、多くの費用がかかり、他に活用すべき研究資源を使い果たすことになる」と指摘した。
ただ、PCR検査の検体は遺伝子解析に用いられるため、PCR検査を省力すれば異なる変異株の広がりに関するデータが、現在ほど集まらなくなる。
一方、イスラエルは隔離と検査に関する方針を変更。PCR検査は60歳以上と弱い免疫システムを持つ人に限定し、低リスクの国民には迅速抗原検査キットを用いると定めた。
ワクチン接種済みでリスクも高くない人が陽性者と接触した場合は、自主隔離の必要を自分で判定するため家庭用検査キットを使用することを認める。家庭用検査キットで陽性反応が出た場合は医療機関で2度目の確認検査を受けることを義務付ける。
イスラエルには米ファイザーと米メルクそれぞれの新型コロナの治療薬の在庫があり、これが入院と重症化を防げると期待している。
イスラエルは今週、リスクの高い層への4回目接種を開始している。