[11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は11日、上院銀行委員会で開かれた議長再任指名に関する公聴会で証言し、米経済はFRBによる大規模な刺激策を「もはや必要としておらず」、年内に計画される金融政策引き締めによって堅調な雇用市場が損なわれることはないという見解を示した。
さらに、現在見られる新型コロナウイルス感染者の急増については、経済への影響は「短期的」にとどまる見通しで、FRBが年内に目指す利上げや保有資産縮小の道筋を逸脱させる公算は小さいと述べた。
パウエル議長は、足元インフレが焦点で、雇用促進もしくはコロナ禍に伴う低迷への対応ではないとし、経済と雇用拡大の維持には物価安定が必要と強調した。
その上で「インフレは目標をはるかに上回っている。経済はFRBが実施した非常に緩和的な政策をもはや必要としておらず、望んでもいない」と述べた。同時に、金融政策の正常化に向けた「道のりは長い」としつつも、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)への対応としてFRB実施した緊急措置を解除する時期に至ったとし、「雇用市場に悪影響は及ばない」と述べた。
インフレは年央までに緩和するという見通しを示しつつも、FRBはインフレ上昇の「定着」を防ぐために必要な措置を講じる用意があると表明した。
利上げやバランスシート縮小に関する時期やペースを巡る決定については「幾分機敏となる必要がある」と述べた上で、金融政策の正常化を巡り、FRBはまだ何ら決定していないとした。同時に、07─09年の景気後退後に行われた前回のバランスシート縮小よりも「より早期かつより速いペース」で進められる公算が大きいと述べた。