Elias Biryabarema
[カユンガ(ウガンダ) 10日 ロイター] - 東アフリカのウガンダで暮らすフリダ・ナムガンザさん(18)は今週、勤務先である国内のレストランで客から注文を取り、テーブルを拭いて過ごしている。友人のレイチェル・ナルワンガさんのように、学校の新しい制服を着て教室に戻れればよかったのに、と思いながら。
片や中途退学、片や喜々として学業復帰という2人の少女のエピソードは、数百万人のウガンダ人児童が置かれた状況でもある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による2年近くにわたる休校措置が10日に終了し、学生・生徒の多くは教室に戻った。
新型コロナによるパンデミックに伴う教育機関の機能停止は世界で見られたが、国連によれば、ウガンダでの休校措置はその中でも最も長期にわたる例だった。
16歳のレイチェルさんはロイターの取材に対し「学校に戻れることにわくわくしている。身を守るためにこれほど長く家に閉じこもるのは簡単ではなかった。でも神様のおかげで、無事でいられた」と語った。
「学校に戻りたいとずっと思っていた。将来は会計士になるという夢をかなえたい」
だがウガンダの当局者は、パンデミックが始まった時点で学校に在籍していた児童の3分の1は復学しないだろうと推測している。世界で最も平均年齢が低い国の1つであり、ただでさえ高失業率と貧困に悩まされているウガンダにおいて、これは新しい世代の将来の展望という点で深刻な打撃になりかねない。
ウガンダ当局者がこのように推測するのは、家計を支えるために子どもが働かざるを得ない例が広く見られ、同時に、ティーン世代の妊娠・結婚が増えているからだ。
大勢の若い学生らが10日、再開された学校に戻っていったが、その中にレイチェルさんの友人であるフリダさんの姿はなかった。
<「葬られた」夢>
学校が休校になった時点で、フリダさんは今のレイチェルさんの年齢だった。生物と化学が好きで、医師になるのが夢だったが、仕事を見つけて家計を支えるために、その夢を「葬った」と言う。コロナ禍におけるウガンダのロックダウン措置は厳格で、不定期の補助的業務で生計を立てていた人々は仕事を失い、多くの家庭がさらに貧窮することになった。
フリダさんは今、自分の将来を危ぶんでいる。
ウエートレスとして働きながら「1人の若い女性として気を揉んでいる。学校に通っていないから、結婚してしまおうかという気になるかもしれない」と彼女は言う。
「私がここで働いている間に、友人らは学校に戻ったり、その準備を進めている。そう考えると気持ちが沈んでいく。絶望や怒りもある」
首都カンパラから北東に65キロメートル離れたカユンガの街で、別の16歳の少女からも、学校が休校になっている間に同じような誘惑に駆られたという話を聞いた。
サラ・ナカフェロさんは、自宅から出られず鬱々(うつうつ)としていたところ、年上の男性からの誘いに乗ってしまったという。数週間後、祖母に妊娠検査を受けさせられた。妊娠している間は泣き暮らしていたと彼女は言う。
ティーン世代としても小柄なサラさんは、隣人たちの詮索を避けるために、3カ月になる赤ん坊のスミンちゃんとともに祖母の家から出ないようにしている。「皆が私のことをじろじろ見る……散歩をしたり予防接種を受けに行ったりすると、『本当にあなたの子どもなのか』と聞かれる」とサラさん。
「恥ずかしいし、腹も立つ」
休校措置を含む厳格な感染拡大対策が奏功して、ウガンダ国内でのCOVID-19による死者数は低く抑えられている。これまでのところ、国内の感染者数は約15万3000人、死者は約3300人だ。
ただ国連児童基金(UNICEF)によれば、ウガンダの若者にとって休校措置はあまりにも長く、犠牲が大きかったという。
UNICEFのウガンダ代表を務めるムニル・サフィールディン氏は「何百万もの子どもらが、教育を受ける権利を失うリスクに直面している」と語る。その根拠として挙げるのは、国家計画庁による「学生の3分の1が二度と復学しないだろう」との予測だ。
同氏によれば、UNICEFでは休校措置を原因とする高校の中途退学の増加により、最終的にはウガンダの経済成長率、労働生産性に悪影響が出ると予測しているという。
(翻訳:エァクレーレン)