[東京 18日 ロイター] - 岸田文雄首相は18日夜、世界経済フォーラム(WEF)主催のオンライン会議「ダボス・アジェンダ」に登壇し、外国人の入国を原則認めない新型コロナウイルスの水際対策への理解を求めた。欧州連合(EU)が石炭と鉄鋼の生産・取引の管理から始まったことを引き合いに出し、脱炭素分野でアジア共同体を作る構想も披露した。
岸田首相は司会のシュワブWEF会長から水際対策の緩和を求められ、「感染リスクの高い高齢者などの弱者を重視した慎重な対応」と答えた。2011年の東日本大震災後に国民の示した自主的な連帯や協力の精神を日本の強みとして挙げ、「国民からも厳格な水際対策を求める声が強く、ご理解いただきたい」と述べ、2月末まで現在の水際対策の骨格を維持すると説明した。
首相は同会議で演説もし、「わが国が来年のG7(主要7カ国)議長国を務めることを見据えながら、新しい資本主義によって世界の流れをリードするとの思いをもって資本主義の進化の実例を示していく」などと述べた。安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」に触れ、「大きな成果を上げたが、持続可能で包摂的な日本経済、に変革していくためには、これまでの取り組みだけでは不十分なのは明らか」と語った。
また、成長戦略として脱炭素分野への投資を挙げ、アジアには日本と似たエネルギー構造の国があると指摘、欧州連合(EU)が冷戦下に石炭鉄鋼共同体として始まったように「ゼロエミッション技術の開発や水素インフラの国際共同開発、共同資金調達、技術標準化、アジア排出権市場などを内容とするアジア・ゼロエミッション共同体を目指す」と述べた。