[オタワ 17日 ロイター] - カナダ保健省は17日、米製薬大手ファイザーの新型コロナウイルス感染症経口薬「パクスロビド」について、症状が軽度から中程度の18歳以上の患者に対する治療薬として承認したと発表した。
カナダでもオミクロン株による感染が急速に拡大。入院患者の数も増加している。連邦政府のテレサ・タム公衆衛生局長は記者団に対し「簡単に利用できる治療薬で新たに感染した成人の症状悪化が食い止められるため、今回の承認は特に重要だ」と述べた。
連邦政府は先月、ファイザーから100万回分のパクスロビドを調達する契約に調印したと発表。ただ、同薬は世界的に供給量が不十分で、カナダにすぐ到着するのはごく少量になりそうだ。これまでに3万0400回分がカナダに届けられており、3月末までに12万回分が納入されるとしている。
ファイザーは昨年12月、パクスロビドについて、重症化リスクのある患者の入院や死亡の予防で約90%有効であることを示す最終分析を発表。オミクロン変異株に対しても効果がある可能性が示されたと明らかにした。
米食品医薬品局(FDA)は昨年12月22日、パクスロビドの緊急使用を承認。軽・中度の症状のある成人および12歳以上の患者(体重40キロ以上)で、重症化リスクのある人が対象となる。FDAは翌23日に、米メルクの新型コロナ経口治療薬「モルヌピラビル」も重症化リスクの高い成人に対する使用を許可した。
カナダもメルクのモルヌピラビルの承認の是非を現在検討中。ただ連邦政府のデュクロ保健相は、モルヌピラビルには「いくつかの問題がある」として、承認手続きはパクスロビドよりも遅延していると述べた。ただ詳細については明らかにしなかった。