[ロンドン 19日 ロイター] - 相次ぐ不祥事で批判が集まっているジョンソン英首相は19日、野党議員や一部の与党議員からの退陣要求をはねつけ、首相職を続投する姿勢を示した。
ジョンソン氏を巡っては、新型コロナウイルス対策で英国でロックダウン(都市封鎖)が敷かれていた2020年5月、首相官邸の庭でパーティーを開いていたことが判明。ジョンソン氏はこの問題を巡り先週議会で謝罪。業務上の会合と認識していたと釈明した。
また、ロックダウン期間中に首相官邸でパーティーが複数回開かれていたことが分かり、ジョンソン氏は謝罪したが、多くのパーティーについては知らなかったとしている。
与党保守党のデービッド・デービス議員は議会で、「リーダーたちは自らの行為の責任を取るべきだ」と発言。ジョンソン氏は首相の座に長居しすぎているとし、「お願いだから辞めてくれ」と退陣を迫った。
一方、野党議員がジョンソン氏に辞任する意向があるか直接質問すると、同氏は「ない」と答えた。
ジョンソン氏率いる保守党は19年の下院選挙で1987年のサッチャー元首相以来となる大幅な過半数議席を獲得、英国の欧州連合(EU)からの離脱を実現させた。
ジョンソン氏が退陣すれば、ウクライナ危機や国内のインフレ高進への対応が急がれる中、何カ月もの政治空白が生じることになる。
保守党のルールでは、保守党の下院議員360人中54人が党首の交代を書簡で求めれば信任投票を実施できる。
英紙デイリー・テレグラフによると、19年の選挙で議席を得た最大20人の保守党議員が、ジョンソン氏に対する不信任投票を求める書簡の提出を計画している。このほか、すでに同様の書簡を書いたとする議員も数名いる。
英紙タイムズの分析では、保守党議員58人が既にジョンソン氏への批判を公にしている。
保守党は支持率で野党労働党に大きく引き離されている。
労働党のスターマー党首は議会で、ロックダウン下に官邸の庭で開かれたパーティーがコロナ規則違反になる可能性を誰も警告しなかったと訴えたジョンソン氏について、「首相は毎週のようにばかげた弁解を繰り出している」と批判した。
保守党内でもジョンソン氏への反発が強まる中、クリスチャン・ウェイクフォード議員が19日、保守党を離れて労働党入りした。