[10日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)が、ウクライナ国内の公衆衛生研究所から危険度の高い病原体が流出するのを防ぐため廃棄を助言していたことが分かった。ロイターに10日明らかにした。
バイオセキュリティーの専門家は、ロシアの進軍や都市部への爆撃を受け、研究所に被害が及べば病原体が流出するリスクが高くなっていると指摘する。
ウクライナには多くの国と同様、感染症リスクの軽減を研究する研究所があり、米国や欧州連合(EU)、WHOから支援を受けている。
WHOはロシアの軍事侵攻前および侵攻後のウクライナとの取り組みについて、「偶発的または意図的な病原体流出」を防ぐ安全面の慣行を促進するため、同国の公衆衛生研究所と数年にわたり協力してきたと説明。
「この一環として、ウクライナ保健省など責任を負う機関に対し、流出の可能性を防ぐため危険度の高い病原体を廃棄するよう強く勧告した」と述べた。
勧告した時期や、ウクライナの研究所にある病原体や毒物などの詳細は明らかにせず、ウクライナが勧告に従ったかについても返答しなかった。
ロシア外務省のザハロワ報道官は9日、米国がウクライナで生物兵器開発を行っているとの長年の主張を繰り返し、研究所のサンプルを廃棄して「生物兵器開発の証拠を急いで消そうとした」ことを示す資料をロシア軍が入手したと述べた。ロイターはこの情報の真偽を独自に確認できていない。
米国とウクライナはロシアの主張を繰り返し否定している。