[16日 ロイター] - 新型コロナウイルスワクチンに関する特許権の一時放棄を巡って、米国と欧州連合(EU)、インド、南アフリカが暫定合意に達したことについて、世界貿易機関(WTO)のオコンジョイウェアラ事務局長は「大きな前進」と評価した。一方、製薬会社の間からは、将来の公衆衛生危機に対応する業界の能力を損なう恐れがあるとの声が上がった。
WTOは全会一致が原則のため、発効には加盟164カ国・地域の同意が必要。事務局長は「まだゴールには到達していない。加盟国全体の支持を確実に得るために、なおやるべきことがある」などと述べた。
WTOで正式に承認されれば、各国は特許権者の同意なしに、国内メーカーがコロナワクチンを製造することを3年または5年間許可できる。ただし、特許権免除対象は、2021年の世界のコロナワクチン輸出に占める比率が10%未満の国や地域に限定される。
一方で、国際製薬団体連合会(IFPMA)のトーマス・クエニ事務局長は「コロナワクチンの供給問題が解消された今、特許を弱めるような措置を取ることは、間違ったシグナルを送ることになる」と難色を示した。