[東京 13日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は13日、信託大会でのあいさつで、景気の先行きについて、資源高による下押しの影響を受けるものの、新型コロナウイルス感染症や供給制約の影響が和らぐもとで回復していくとの見通しを示した。現在の強力な金融緩和を粘り強く続けることでコロナ禍からの回復途上にある経済活動を支え、2%物価目標の持続的・安定的な実現を目指していくと語った。
黒田総裁は、国内総生産(GDP)は依然として感染症拡大前の水準を下回って推移していると指摘。「足元でみられる輸入コストの上昇に起因する物価上昇は、家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じて日本経済の下押し要因になる」と述べた。
景気の現状については「感染症の影響などから一部に弱めの動きもみられるが、基調としては持ち直している」とした。1日発表の3月調査日銀短観では業況感が悪化したが「企業収益と設備投資の増加基調は続いていることが確認できた」と述べた。
消費者物価は当面、エネルギー価格の大幅上昇などで前年比でのプラス幅をはっきりと拡大すると指摘。「マクロ的な需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなど背景に、基調的な物価上昇圧力は高まっていく」とも指摘した。
黒田総裁は、こうした経済・物価の見通しは変異株を含めた感染症の影響に加え「ウクライナ情勢の帰趨(きすう)とその資源価格への影響などを中心に、きわめて不確実性が高い」と指摘した。
(和田崇彦 編集:田中志保)