[10日 ロイター] - ペプシコやクアルコム、カミンズなど中国で本格的に事業を展開している米大手企業は、中国における自社事業の成長に慎重な見方を示している。懸念しているのは「ゼロコロナ」政策解除後の中国の回復ペースが想定より遅い点で、需要がコロナ禍前の水準に戻っていないとの声が聞かれる。
清涼飲料大手ペプシコのヒュー・ジョンストン最高財務責任者(CFO)は先月、ロイターに「中国(事業)は改善しているが、ゆっくりとしたペースだ」と語った。
ジョンストン氏によると、同社の中国事業はコロナ禍前には2桁成長だったが、足元の成長率は1桁台半ばにとどまっている。コロナ禍前の成長に戻るには「数四半期を要する」と話した。
ライバルのコカ・コーラも同様な見方を示している。
コーヒーチェーン大手のスターバックスは中国の既存店売上高が第2・四半期(4月2日終了)に3%増加したが、平均週間売上高は下半期に伸びが減速すると見込む。
化粧品大手エスティローダーは先週、今年の売上高と利益の見通しを下方修正。理由として、中国を含む観光地と免税店での遅い回復を挙げた。
チャイナ・マーケット・リサーチ・グループのマネジングディレクター、ショーン・レイン氏は「中国は2022年に雇用の減少と給与の削減に直面した上、2023年の春節(旧正月)ボーナスも低額だったため、消費者信頼感が低調にとどまり、ぐらついている」と指摘。中国の消費者は「自動車や住宅といった高額商品への支出を減らし、安価な商品を探している」と述べた。
アップルは第1・四半期に中国での売上高が2.9%減少。半導体大手クアルコムは中国事業について「本格回復を裏付ける証拠は見当たらず、事業計画では状況の改善を想定していない」と明らかにした。
トラックエンジン大手カミンズは、中国のトラックメーカー各社は在庫を補充するため生産を増やしているが、「継続的な改善の兆候はまだ見えていない」という。
自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は中国での売上高について、今年下半期までは改善は期待していないと説明した。
チャイナ・マーケット・リサーチ・グループのレイン氏は「中国は多くの多国籍企業にとって成長のけん引役になるだろうが、多くのアナリストが予想しているほどの高成長にはならない」と話した。