Chen Lin
[シンガポール 5日 ロイター] - シンガポールのリー・シェンロン首相は5日、与党人民行動党(PAP)の結党70周年となる2024年11月までにトップをローレンス・ウォン副首相兼財務相に譲ると発表した。
シンガポールでは来年にも総選挙が行われる。PAPは1965年の独立以来政権を維持しており、ウォン氏は次期首相に就任するとみられている。
リー氏は2004年から首相を務め、昨年ウォン氏を後継者に選んだ。5日に開催された党大会で「次の総選挙の前にウォン氏に引き継ぐつもりだ」と述べた。
71歳のリー氏は70歳の誕生日を迎える前に党トップを移譲する予定だったが、新型コロナウイルスの大流行のために延期されていた。
ウォン氏(50)は政府の新型コロナ対策本部の共同責任者として移動制限、国境封鎖、接触者追跡などを実施。感染を食い止め死者を最小限に抑えたとして称賛された。
05年から08年までリー氏の首席秘書官を務めた。その後は国家開発相や教育相を歴任し、21年に財務相、22年に副首相に就任した。また中央銀行であるシンガポール金融管理局の会長で、政府系ファンドGICの副会長でもある。
次期総選挙前の権力移譲は大胆な行動との声が一部で聞かれるが、大半のアナリストは政治の安定に影響はないとみている。
南洋理工大学の政治学者ワリード・ジャンブラット・アブドゥラ氏は「リー氏が総選挙後に権力を譲り、ウォン氏に有権者と信頼関係を築く時間を与える方がPAPにとってより安全策だ」と指摘した。
ただリー氏は何らかの形に政権に関与するとみられ、前倒しが安定に影響することはないだろうと語った。