(決算速報)
日本エム・ディ・エム<7600>(東証プライム)は10月31日の取引時間終了後に23年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。売上面はコロナ禍の影響が和らいで2桁増収だが、米国におけるサプライチェーン上の問題発生などで計画を下回り、利益面は為替の円安も影響して減益で着地した。そして通期予想を下方修正した。整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があり、業績も下期の構成比が高い季節特性がある。下期の挽回を期待したい。株価は年初来安値圏で軟調な展開だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になりそうだが下値限定的だろう。
■23年3月期2Q累計減益、通期予想を下方修正
23年3月期第2四半期累計の連結業績は売上高が前年同期比12.8%増の99億27百万円、営業利益が12.4%減の9億27百万円、経常利益が12.1%減の9億16百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が28.1%減の7億21百万円だった。
前回予想(売上高102億円、営業利益11億円、経常利益10億50百万円、親会社株主帰属四半期純利益7億円)に対して、売上高は2億10百万円、営業利益は1億72百万円、経常利益は1億33百万円それぞれ下回った。親会社株主帰属四半期純利益は特別利益の計上で21百万円上回った。
売上面はコロナ禍の影響が和らいで2桁増収だが計画を下回った。米国における外部ベンダーを含むサプライチェーン上の構造問題が発生して米国の新規顧客との取引開始を一時的に延期したこと、一部の既存顧客について医療スタッフ不足で症例数計画を下回ったこと、競合他社による人工股関節新製品投入によって販売競争が激化したことなどが影響した。利益面は自社製品売上高比率が想定を下回ったことや想定以上の為替の円安も影響して減益で着地した。
セグメント別(調整前)に見ると、日本国内は売上高が6.2%増の58億05百万円で営業利益が30.6%減の4億63百万円、そして米国は売上高が12.6%増の58億89百万円で営業利益が8.6%減の3億89百万円だった。なお米国の外部顧客向け売上高は米ドルベースで1.9%増、為替換算後で23.3%増となった。
医療機器類の分野別売上高は人工関節分野が15.7%増の63億93百万円(日本国内が3.7%増、米国が23.3%増)、骨接合材料分野(日本国内)が8.5%増の19億22百万円、脊椎固定器具分野が9.7%増の16億14百万円だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が50億27百万円で営業利益が4億98百万円、第2四半期は売上高が49億62百万円で営業利益が4億29百万円だった。
通期の連結業績予想については10月31日付で下方修正して、売上高が22年3月期比13.6%増の218億円、営業利益が24.9%減の20億円、経常利益が20.9%減の20億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が32.1%減の14億50百万円とした。下期の想定為替レートは1米ドル=150円(前回予想は1米ドル=128円)とした。配当予想は据え置いて1円増配の13円(期末一括)としている。連続増配予想である。
前回予想(売上高220億円、営業利益28億円、経常利益27億円、親会社株主帰属当期純利益18億50百万円)に対して、売上高は2億円、営業利益は8億円、経常利益は6億50百万円、親会社株主帰属四半期純利益は4億円それぞれ下回る見込みとした。
売上面では日本国内が堅調に推移し、上期に発生した米国の新規顧客との取引開始延期は既に解消しているが、引き続き一部の既存顧客について医療スタッフ不足で症例数計画を下回っていること、競合他社による人工股関節新製品投入によって販売競争が激化したことなどが影響し、利益面では想定以上の為替の円安が影響して売上原価率が悪化する見込みとしている。整形外科医療機器の販売は下期が繁忙期となる傾向があり、業績も下期の構成比が高い季節特性がある。下期の挽回を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は年初来安値圏で軟調な展開だ。目先的には下方修正を嫌気する動きが優勢になりそうだが下値限定的だろう。10月31日の終値は1185円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円96銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の13円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS810円59銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約314億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)