10日の欧米外為市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想する。
底堅い米経済指標を背景に景気拡大期待のドル買いが先行する見通し。
ただ、明日からのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を見極めようと積極的な買いは手控えられそうだ。
7日に発表された米雇用統計は失業率が小幅に悪化したものの、非農業部門雇用者数は予想を大幅に上回ったほか、平均賃金も前年比で堅調となった。
ISM製造業景気指数などを含め前週発表された良好な経済指標を受け、足元は景気拡大への期待感を背景にドル買いへ振れやすい地合いが続く。
一方、オセアニア通貨は新型コロナウイルスの感染拡大で中国経済の減速に影響を受けやすい。
また、欧州通貨はユーロ圏経済の回復の遅れが嫌気されるなど、主要通貨売りがドルを支援している。
本日アジア市場でドル・円は109円半ばから後半に浮上した。
この後の海外市場では新型ウイルスや米国経済をにらみ、株価や長期金利を手がかりとした展開となりそうだ。
新型ウイルスの感染被害はさらに拡大。
世界の死者数は10日午前の時点で910人にのぼり、2003年に流行した新型肺炎「SARS」を上回った。
そうしたなか、11-12日のパウエルFRB議長による議会証言が注目される。
同議長は、足元の米国経済に関しては前向きに評価する半面、先行きに関しては慎重な見解を示すとみられる。
発言内容によっては利下げ観測が再燃する可能性があるため、ドルは積極的な買いが入りづらく上昇は抑制されよう。
【今日の欧米市場の予定】・22:15 ボウマン米FRB理事講演(地域金融機関について)・03:45 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁講演(ダブリン)・05:15 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が討論会出席(経済見通し関連)