[杭州 26日 ロイター] - 欧州系自動車大手ステランティスは26日、中国の新興電気自動車(EV)メーカー、浙江零跑科技(リープモーター・テクノロジー)の株式の21%を16億ドルで取得すると発表した。世界最大の自動車市場、中国での重要な足がかりとなる。
リープモーターはステランティスとの合弁事業設立も発表した。合弁事業はステランティスが株式の51%を保有し、中国外でのリープモーター製品の輸出、販売、製造の独占権を持つ。輸出は来年後半に開始する見通し。
ステランティスのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、東部杭州で行われた記者会見で「われわれは中国でさほど成功していない」と述べ、「中国で勝つためには中国企業との提携が有利だ」と説明した。
共同会見に臨んだリープモーターの朱江明CEOは「これはスピードレースだ。われわれはスピードアップに貢献できる」と強調した。
一部のアナリストは、こうした提携が外資系ブランドの中国での復活につながるか疑問視している。
北京のコンサルティング会社シノ・オート・インサイツの代表は「自社では開発できないような新技術にアクセスするための小規模投資は期待されているほどの特効薬にはならない」との見方を示した。
上海のコンサルティング会社オートモビリティのビル・ルッソCEOは「自動車業界の提携の成功例は少なく、利害が一致しないと解消に至ることが多い」と説明した。
今回の取引には株主の承認が必要となる。
ステランティスは中国で自動車大手、東風汽車集団との合弁事業などを行っているが、販売は苦戦し戦略の刷新を検討している。
合弁事業は2024年下期に輸出事業を開始する予定で、ステランティスが責任者を指名するほか、取締役会に2議席を持つことになる。
提携によりステランティスはEV製品を拡充し、30年に欧州の全販売と米国販売の半分をEVにする目標の達成に近づく。
上海のコンサルティング会社オートモーティブ・フォアサイトのディレクター、エール・チャン氏は「中国のEV新興企業は生き残りをかけており、外国資本に前向きであるため、こうした提携がますます増える」との見方を示した。