6/11、弊社では投資セミナーを横浜で開催させていただきました。
ご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
ご参加の方々が熱心に聞いてくださる姿や、いただいたご質問ににじみ出る投資への思いに、改めて身が引き締まる思いでした。
一方、同日の日経新聞では、銀行などの預金が過去最高を更新しているという記事が掲載されていました。
1,053兆円に達した預金が銀行に滞留している、高齢者が預金を温存している、といった点を取り上げています。
しかし、この記事には一点補足が必要だと思いました。
マイナス金利導入以降の1年、特に預金を増やしているのは、個人よりも法人です。
17/3月末時点の預金は、個人ではほぼそれまで同様の前年比2.6%増に留まったのに対し、一般法人では7.7%増、金融法人を含むと13.5%増と、きわめて高い伸びを示しました。
企業収益は好調で、6/1に発表された17/3月期の経常利益は10.0%の増益となりました。
しかも、銀行の融資態度も緩和的になっていることから、企業の長期借入金や社債も増加しています。
企業の資金繰りは歴史的レベルで潤沢になっています。
この結果、企業の資本比率は、過去最高の42.4%に達しました。
にもかかわらず、企業は設備投資をいまだに渋っています。
昨年度の設備投資は、前年比2.6%の増加に留まりました。
有価証券投資も前年比で6.1%減少しています。
更に、自社株買いは前年比で久しぶりに減少し、増配企業もそれほど増加していません。
政府は個人資産に対し、「貯蓄から資産形成へ」と促していますが、投資先の企業がまずリスクを取り成長に向かっていないことにも問題があると思います。
もちろん、M&Aの失敗から窮地に立たされる企業も目立つので、やみくもに投資をするべきというわけではありませんが、今のように変化の早い世界では、成長のための新規投資は必須でしょう。
そして、環境的にそれができないなら、株主還元を増やすことも有効な資本の使い道です。
これから株主総会が本格化します。
日本の場合、経営者の報酬があまり業績に連動していないので、欧米以上に、株主が企業に積極投資を促すことが求められます。
投資先の企業が過度に資金を眠らせているようなら、株主総会などで、資本の使い道についての議論を深めるべきかもしれません。
マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那
(出所:6/12配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)
ご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
ご参加の方々が熱心に聞いてくださる姿や、いただいたご質問ににじみ出る投資への思いに、改めて身が引き締まる思いでした。
一方、同日の日経新聞では、銀行などの預金が過去最高を更新しているという記事が掲載されていました。
1,053兆円に達した預金が銀行に滞留している、高齢者が預金を温存している、といった点を取り上げています。
しかし、この記事には一点補足が必要だと思いました。
マイナス金利導入以降の1年、特に預金を増やしているのは、個人よりも法人です。
17/3月末時点の預金は、個人ではほぼそれまで同様の前年比2.6%増に留まったのに対し、一般法人では7.7%増、金融法人を含むと13.5%増と、きわめて高い伸びを示しました。
企業収益は好調で、6/1に発表された17/3月期の経常利益は10.0%の増益となりました。
しかも、銀行の融資態度も緩和的になっていることから、企業の長期借入金や社債も増加しています。
企業の資金繰りは歴史的レベルで潤沢になっています。
この結果、企業の資本比率は、過去最高の42.4%に達しました。
にもかかわらず、企業は設備投資をいまだに渋っています。
昨年度の設備投資は、前年比2.6%の増加に留まりました。
有価証券投資も前年比で6.1%減少しています。
更に、自社株買いは前年比で久しぶりに減少し、増配企業もそれほど増加していません。
政府は個人資産に対し、「貯蓄から資産形成へ」と促していますが、投資先の企業がまずリスクを取り成長に向かっていないことにも問題があると思います。
もちろん、M&Aの失敗から窮地に立たされる企業も目立つので、やみくもに投資をするべきというわけではありませんが、今のように変化の早い世界では、成長のための新規投資は必須でしょう。
そして、環境的にそれができないなら、株主還元を増やすことも有効な資本の使い道です。
これから株主総会が本格化します。
日本の場合、経営者の報酬があまり業績に連動していないので、欧米以上に、株主が企業に積極投資を促すことが求められます。
投資先の企業が過度に資金を眠らせているようなら、株主総会などで、資本の使い道についての議論を深めるべきかもしれません。
マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那
(出所:6/12配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)