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日本調剤 Research Memo(10):自社製造医薬品の拡大と、それに見合った生産能力の確保が成長戦略の軸

発行済 2017-12-21 15:40
更新済 2017-12-21 16:00
日本調剤 Research Memo(10):自社製造医薬品の拡大と、それに見合った生産能力の確保が成長戦略の軸
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■中長期の成長に向けた経営戦略

3. 医薬品製造販売事業の成長戦略
2005年の日本ジェネリック設立以来、2013年の長生堂薬局の買収や、2015年のテバ製薬(株)(現・武田テバファーマ(株))からの工場取得等を経て、日本調剤 (T:3341)の医薬品製造販売事業の業績は順調に拡大してきた。


販売医薬品のソース別内訳としては、日本ジェネリックの設立当初は導入品(他社からの仕入品)の販売からスタートしたが、徐々に自社で承認取得した医薬品の数を増やし、医薬品製造企業としての早期自立を目指した。
自社工場が完成するまでは他社への生産委託で対応していたが、2010年10月に日本ジェネリックのつくば工場N棟が稼働すると、自社承認品の自社生産がスタートした。
これが軌道に乗った2013年3月期にセグメント利益が黒字化したことは示唆に富んでいる。


販売品目数の増加に伴って売上高が成長し、そのなかで自社グループ承認品の増加に伴って利益も急増してきた。
自社工場を保有する製造企業である以上、自社生産品目数を増やして工場稼働率を高水準に維持しなければ十分な収益を確保することが出来ない。
この点について同社は、自社生産医薬品の数を、2013年3月期の21品目から2018年3月期第2四半期においては236品目へと、10倍超に増やした。
今後もこの動きを継続していくのが成長戦略の重要な1つだ。


一方で自社承認・自社生産医薬品の拡大のためには、研究開発費と設備投資という“先行投資”が必要となる。


研究開発費についてはこれまでも一貫して増加を続けてきた。
2018年3月期は研究開発費(見込額)が3,116百万円(前期比727百万円増)と業績への影響が大きく出る見通しだ。
来期以降も増加基調は続くとみられるが、中期的には生産・販売の拡大で十分吸収可能だと弊社ではみている。


生産能力については、つくば第二工場の建設を進めてきたが、2018年4月に年間33億錠の生産能力を有する第1期設備が竣工する予定だ。
つくば第二工場は年間100億錠の生産能力を前提に敷地の確保と建屋の建設が進められてきた。
当初は一気に第3期までの機械設備の設置も検討されたが、最終的に段階的に能力を増強することで落ち着いた。
土地、建物および第1期分の機械設備にかかる設備投資額は172億円で、これは既に手当て済みだ。
この設備投資により減価償却費は年間7億円増加する見通しだ(償却方法は定額法)。


弊社では、医薬品製造販売事業の成長戦略については大きな懸念を抱いていない。
ジェネリック医薬品の拡大の方向性は今後も揺るがないと考えており、その中で同社は自社承認医薬品を着実に増加させてきている。
それに対応して同社が生産体制を拡充することは当然の経営判断と言える。
つくば第二工場について機械設備の導入を3段階に分ける決定をしたことで、事業リスクは大きく減少したと考えている。
同社は調剤薬局事業を有しており、医薬品製造販売事業の取扱医薬品の3分の1を自社内で販売できる点も他のジェネリック医薬品メーカーにはない強みだと考えられる。
まずはつくば第二工場の立ち上がりを見守りたい。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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