■TOKAIホールディングス (T:3167)の今後の見通し
3. 中期経営計画について
(1) 基本方針
2018年3月期よりスタートした新中期経営計画 (IP20)では、基本戦略としてトップラインの成長を最優先に「守りの経営」から「攻めの経営」に転じることを打ち出した。
2021年3月までに顧客基盤の拡大につながるM&Aやアライアンスを積極的に推進し、総額1,000億円の戦略的投資を実行していく方針となっている。
M&Aの対象としては、中核事業であるガス、CATV、情報通信サービス等で顧客基盤を持つ企業のほか、既存の生活関連サービスの周辺領域についても対象としており、現在複数の案件について精査を進めている状況にある。
また、AIやビッグデータ、クラウド、IoT、ロボティックスといった先進技術を活用した新規事業の創出にも取り組んでいく。
同社ではこれらキーワードの頭文字と、これら技術を使いこなすデバイスとなるスマートフォンの頭文字を組み合わせて「ABCIR+S(アブサーズ)」と呼び、専任組織として「次世代経営戦略本部」を立ち上げ、グループ横断で「ABCIR+S」活用モデルの検討(新規事業の創出、顧客接点の高度化、情報活用戦略等)を進めている。
これら先端技術で自社が保有していないリソースについてもM&Aの対象となる。
(2) 経営数値目標
中期経営計画の経営数値目標としては、2021年3月期に連結売上高で3,393億円、営業利益で225億円、親会社株主に帰属する当期純利益で115億円、ROEで13.0%を掲げている。
2018年3月期との比較で見れば、売上高で1.8倍、営業利益で2.0倍、親会社株主に帰属する当期純利益で1.7倍の水準となる。
M&Aも活用しながらグループ顧客件数を432万件以上と1.5倍以上に拡大し、また、クロスセル率も引き上げていくことで計画の達成を目指していく考えだ。
なお、中期経営計画策定時点における2019年3月期の業績目標値に対して、利益計画は変わっていないが、売上高の直近計画では1,956億円と当初目標値の2,020億円をやや引き下げている。
これは情報・通信サービスのうちコンシューマー向けサービスの顧客件数が競争激化の影響で当初目標を下回る見込みとなっているのが主因となっている。
また、財務面を見るとM&Aやアライアンス等の加速により1,000億円規模の投資を実行していくことを前提に、有利子負債の増加を見込んでいる。
このため、有利子負債/EBITDA(営業利益+のれん費用を含む償却費)倍率で見ると、2018年3月期の1.9倍から2021年3月期には2.6倍とやや拡大するものの、自己資本比率は30%台をキープし財務の健全性を保ちながら積極投資を実施していく方針となっている。
なお、M&A費用を除く通常の設備投資については、2018年3月期が126億円で2019年3月期以降は年間140億円の水準を計画している。
設備投資のうち60億円程度はCATV事業における光化投資となる。
4K、8Kの高精細放送サービスを可能とするインフラを整備することでCATV事業の競争力を維持向上し、投資余力のない同業他社をM&Aでグループ化しながら事業規模を拡大していく戦略となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
3. 中期経営計画について
(1) 基本方針
2018年3月期よりスタートした新中期経営計画 (IP20)では、基本戦略としてトップラインの成長を最優先に「守りの経営」から「攻めの経営」に転じることを打ち出した。
2021年3月までに顧客基盤の拡大につながるM&Aやアライアンスを積極的に推進し、総額1,000億円の戦略的投資を実行していく方針となっている。
M&Aの対象としては、中核事業であるガス、CATV、情報通信サービス等で顧客基盤を持つ企業のほか、既存の生活関連サービスの周辺領域についても対象としており、現在複数の案件について精査を進めている状況にある。
また、AIやビッグデータ、クラウド、IoT、ロボティックスといった先進技術を活用した新規事業の創出にも取り組んでいく。
同社ではこれらキーワードの頭文字と、これら技術を使いこなすデバイスとなるスマートフォンの頭文字を組み合わせて「ABCIR+S(アブサーズ)」と呼び、専任組織として「次世代経営戦略本部」を立ち上げ、グループ横断で「ABCIR+S」活用モデルの検討(新規事業の創出、顧客接点の高度化、情報活用戦略等)を進めている。
これら先端技術で自社が保有していないリソースについてもM&Aの対象となる。
(2) 経営数値目標
中期経営計画の経営数値目標としては、2021年3月期に連結売上高で3,393億円、営業利益で225億円、親会社株主に帰属する当期純利益で115億円、ROEで13.0%を掲げている。
2018年3月期との比較で見れば、売上高で1.8倍、営業利益で2.0倍、親会社株主に帰属する当期純利益で1.7倍の水準となる。
M&Aも活用しながらグループ顧客件数を432万件以上と1.5倍以上に拡大し、また、クロスセル率も引き上げていくことで計画の達成を目指していく考えだ。
なお、中期経営計画策定時点における2019年3月期の業績目標値に対して、利益計画は変わっていないが、売上高の直近計画では1,956億円と当初目標値の2,020億円をやや引き下げている。
これは情報・通信サービスのうちコンシューマー向けサービスの顧客件数が競争激化の影響で当初目標を下回る見込みとなっているのが主因となっている。
また、財務面を見るとM&Aやアライアンス等の加速により1,000億円規模の投資を実行していくことを前提に、有利子負債の増加を見込んでいる。
このため、有利子負債/EBITDA(営業利益+のれん費用を含む償却費)倍率で見ると、2018年3月期の1.9倍から2021年3月期には2.6倍とやや拡大するものの、自己資本比率は30%台をキープし財務の健全性を保ちながら積極投資を実施していく方針となっている。
なお、M&A費用を除く通常の設備投資については、2018年3月期が126億円で2019年3月期以降は年間140億円の水準を計画している。
設備投資のうち60億円程度はCATV事業における光化投資となる。
4K、8Kの高精細放送サービスを可能とするインフラを整備することでCATV事業の競争力を維持向上し、投資余力のない同業他社をM&Aでグループ化しながら事業規模を拡大していく戦略となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)