[ニューヨーク 16日 ロイター] - 米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ) (N:BAC)が16日発表した第3・四半期決算は、コスト削減に頼った利益拡大策から同社が約5年ぶりに離れたことを示した。2007-09年の金融危機後に続いた米銀行界のコスト削減の流れが、投資重視へと急激に転換している最新の兆候だ。
第3・四半期の利益は市場予想より良かったが、けん引役になったのは融資や株式トレーディング収益や合併・買収(M&A)手数料の増加。全体で純収入とコア支出はいずれもほぼ横ばいにとどまった。業界ではこの両者の差、いわゆる営業レバレッジの増減が、コスト管理能力を示す指標と見なされ、注視される。
バンカメの営業レバレッジは今年第2・四半期まで、18四半期連続で拡大していた。
第3・四半期はコストを削減するのでなく、マーケティングやIT、不動産、機器、報酬への支出を増やした。米国内が中心の消費者向け部門は20カ所の新規拠点を開設、117拠点を改修し、従業員の賃金も上げた。パリ事務所も新規開設し、顧客対応のスタッフを増員、デジタル機器への支出も増やした。
経営陣は、こうした投資は事業の好調さと拡大を維持する上で必要と説明。一方で、経費のコントロールは適切だと断言した。ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は、コストは年間約530億ドルに抑え続けると約束している。
コスト削減よりも投資を優先する動きはゴールドマン・サックス (N:GS)、ウェルズ・ファーゴ (N:WFC)、シティグループ (N:C)など他の米金融機関でも進んでいる。