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国内株式市場見通し:中東情勢乗り越え日経平均はもみ合いへ

発行済 2020-01-11 14:32
更新済 2020-01-11 14:41
© Reuters. 国内株式市場見通し:中東情勢乗り越え日経平均はもみ合いへ
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■日経平均は波乱のスタート2020年相場のスタートとなった前週の日経平均は波乱の幕開けとなった。

まず、年末年始の海外市場を振り返ると、トランプ米大統領が米中貿易協議の第1段階の合意について1月15日に米国で署名式を開く意向を表明したほか、中国人民銀行による預金準備率の引き下げも発表された。

しかし、米軍がイランのソレイマニ司令官を空爆で殺害したことが明らかとなり、中東情勢の緊迫化への懸念から米国株をはじめとした海外市場で売りが先行した。

こうした年始の流れを受けて大発会6日の日経平均は、昨年末比451.76円安の23204.86円と2年連続の大発会安の始まりとなった。

為替が一時1ドル=107円台まで円高方向に振れたことも嫌気された。

ほぼ全面安商状のなか、地政学リスクの高まりで海運株の下げが目立った一方で、原油高関連や防衛関連銘柄が逆行高に向いた。

6日のNYダウが引けにかけて上昇に転じ、円相場も円安となったことから7日の日経平均は4営業日ぶりに反発した。

個別では、自動運転EV(電気自動車)のコンセプトカー開発を発表したソニー (T:6758)が売買代金トップで3%の上昇となったことが注目された。

中東の地政学リスクと10-12月決算シーズンを前に様子見ムードが広がり7日のNYダウは反落。

8日の日経平均は朝方にイランが駐イラク米軍基地を攻撃したことが伝わり急反落となった。

原油先物相場が急伸し、為替相場も円高に振れ、日経平均は前日比624.54円安まで下げる場面があった。

ただ、イランのザリフ外相発言などから一段の状況悪化は回避されるとの見方が広がり、後場の日経平均は下げ幅を縮めた。

6日に続いて日銀のETF(上場投資信託)買いも流入した。

トランプ米大統領が会見でイランとの更なる対立激化を望まない意向を示唆したことで、9日の日経平均も大幅反発した。

東証1部の9割超の銘柄が上昇するなか、特にハイテク株の上げが目立つ展開となった。

イランとの対立激化が回避されるとともに、15日に米中貿易交渉の第一段階目の合意予定が報じられ、10日の東京市場は堅調なスタートに。

個別では、通期業績予想を下方修正したファーストリテイリング (T:9983)が売られたほか、米12月の雇用統計と13日までの3連休を睨んで買い手控えムードも広がった。

■中東、米中、米景気で神経質な展開今週の日経平均はもみ合い商状が想定される。

イラン情勢は緊張緩和の方向に転じたことによって2020年1月第1週の日経平均は上昇スタートとなった。

ただ、依然として中東の地政学リスクはくすぶっている。

ひとたびトラブルが再発すれば「株安」「円高」「原油高」のトリプルデメリットが東京市場を直撃することになる。

また、中国の劉副首相が13日からワシントンを訪れ、15日に米中貿易交渉の第一段階目の合意について両国が署名する予定が報じられているが、その後の展開はまだ不透明だ。

翌週の20日にはカナダ・バンクーバーで、中国通信機器大手華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長身柄引き渡し審理が開始される。

このほか、大発会の日経平均の急落では、中東問題のほか、米国の2019年12月のサプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が10年ぶりの低水準に落ち込んだことが下げ材料として働いた。

日本時間16日夜には米12月小売売上高が発表される。

米国の経済指標の発表にも注意が必要だ。

中東の地政学リスク、米中貿易協議、米国景気の動向に神経質な展開となることが予想される。

指数インパクトの大きいファーストリテイリング (T:9983)が、今2020年8月期通期営業利益予想を一転して減益見通しへ下方修正し、指数の上値を抑える形にもなっている。

ただ、成長期待の大きいハイテク株の押し目を拾う動きが強まっており、日経平均は底堅い動きを強めていることも事実だ。

なお、翌週20日はキング牧師生誕記念日で米市場は休場となることから、週後半は買い手控えムードが強まる見込みである。

■ソニー連騰と決算発表シーズン控え物色面では、大発会から10日まで5日続伸となっているハイテク株の象徴的な存在でもあるソニー (T:6758)が注目される。

2020年の年末商戦に発売を目指すとされる家庭用ゲーム機「プレイステーション5」に続いて、自動運転EV(電気自動車)のコンセプトカーを発表したことが関心を集めている。

15日からは東京ビッグサイトで「自動運転EXPO」が17日まで開催されるスケジュールが関連株を刺激しそうだ。

このほか、16日は皇居で「歌会始の儀」が行われる。

株式市場では発表される翌年のお題を材料視する傾向がある。

ちなみに、2020年のお題は「望」であった。

このほか、翌週23日の日本電産 (T:6594)から今3月期企業の第3四半期決算発表がスタートする。

地合いが好転して来れば、好決算期待の銘柄に先回り買い的な動きも出てくる可能性がある。

■日銀総裁挨拶や米12月小売売上高など主な国内経済関連スケジュールについては、13日は成人の日で東京市場は休場、14日に11月国際収支、12月景気ウォッチャー調査、12月消費者物価、15日に12月マネーストック、日銀支店長会議で黒田日銀総裁挨拶、地域経済報告(さくらレポート)、16日に11月機械受注、12月国内企業物価指数、17日に11月第三次産業活動指数が予定されている。

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