[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米財務省が15日発表した3月の対米証券投資統計によると、海外投資家による米国債投資は、売り越し額が2993億4600万ドルと過去最高を記録した。2月は48億8500万ドルの買い越しだった。
新型コロナウイルス感染拡大を背景とする金融市場の混乱で、3月の米国債市場は手仕舞い売りがかさみ、流動性が著しく低下した。連邦準備理事会(FRB)は市場の安定を確保するため、大量の国債買い入れの実施を余儀なくされた。
TDセキュリティーズ(ニューヨーク)のシニア金利ストラテジスト、ジェナディー・ゴールドバーグ氏は「多くの海外勢によるかなりの手仕舞いがあった」と指摘。「新興市場をはじめ不透明感が強かったため、予防的な手仕舞い売りがかさんだ」とした。
米10年国債利回り (US10YT=RR)は3月上旬に過去最低の0.3180%を付けたが、月末までに0.6990%に急上昇。価格が乱高下する不安定な動きとなった。
海外投資家による米国債保有高は、過去最高を記録した前月から2500億ドル超減少し、6兆8100億ドルになった。
ただ、日本の保有高は2月の1兆2680億ドルから増え、過去最高の1兆2710億ドルとなった。引き続き、外国勢として米国債の最大の保有国となった。
保有高第2位の中国は3カ月ぶりに米国債を売り越し、保有高は1兆0810億ドルと、2月の1兆0920億ドルから減少した。
アナリストは、中国人民銀行(中央銀行)が新型コロナ流行の景気への悪影響を背景に、下落基調にある人民元を支えるため、米国債を売却したようだと分析した。
海外勢は総じて、新型コロナ流行に対処する中、米国債を売却し、財政基盤の強化を図ったようだ。
一方、3月の海外投資家による米株式投資は68億1200万ドルの買い越し。2月は115億1600万ドルの買い越しだった。
海外勢はまた、米社債を31億7700万ドル買い越した。前月は205億1500万ドルの売り越しだった。
海外投資家による米長期有価証券投資(株式スワップ等除く)は1126億ドルの売り越し。
対米証券投資は全体で3499億ドルの買い越しだった。
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