[東京 26日 ロイター] - 日銀が26日に公表した6月の企業向けサービス価格指数速報は106.9で、前年比プラス2.0%となった。指数は2001年4月以来の高水準で、伸び率は2020年2月以来の2%乗せ。燃油価格の上昇などで「外航貨物輸送」、「国際航空貨物輸送」が過去最高の伸び率となったほか、新型コロナウイルスの影響緩和で「宿泊サービス」も過去最高の伸び率を記録した。
前年比の伸びは前月の1.9%から拡大した。伸び率の拡大に最も寄与したのは「運輸・郵便」。
「外航貨物輸送」はプラス66.5%で前月のプラス60.8%から伸びが拡大した。外航タンカーは、燃料油価格の上昇に加えウクライナ情勢の緊迫化による欧州の原油調達先の多様化で、スポット契約が押し上げられた。「国際航空貨物輸送」はプラス84.9%でこちらも前月のプラス75.8%を大きく上回った。ウクライナ情勢を受けて減便が続く中、自動車関連や医薬品の輸送需要の高まりが見られた。
「諸サービス」も指数を押し上げた。「土木建築サービス」はプラス5.0%。人件費上昇を反映して緩やかに上昇している。「宿泊サービス」はプラス19.8%となった。
「情報通信」のうち「ソフトウエア開発」はプラス0.1%で前月のマイナス0.2%からプラスに転じた。受託開発ソフトウエア(除く組込み)では、IT人材の需給タイト化を受けたシステムエンジニアの人件費上昇を反映した値上げが聞かれたという。
<値上げ商品でテレビ広告見送りも>
一方、「不動産」はプラス1.3%で前月のプラス2.0%から伸び率が縮小した。店舗賃貸が主因。売り上げに連動して賃料が変動する店舗では、大型連休で人出が増えた5月対比で人出が一服した店舗がみられた。
「広告」もプラス3.1%で前月のプラス4.4%を下回った。テレビ広告(スポット)では、日用品や飲食料品で値上げした商品の広告出稿を見合わせる企業がみられたという。
公表している146品目のうち、前年比で上昇したのは100品目、下落したのは19品目。
日銀の担当者は、経済を巡る不確実性が高い状況が続く中、国際商品市況や海運市況、新型コロナ感染症、人件費の上昇などが企業向けサービス価格に与える影響を注視していきたいと話した。
(和田崇彦 グラフ作成・編集:田中志保)