[ロンドン 24日 ロイター] - S&Pグローバルが24日発表したユーロ圏の10月の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は約2年ぶりの低水準となった。生活費の負担増大を受け消費者が支出に慎重になり、需要が減退した。
総合PMIは47.1。9月の48.1から低下し、ロイターがまとめた市場予想の47.5も下回った。好不況の節目である50を4カ月連続で下回り2020年11月以来の低い数値となった。
S&Pグローバルのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「10月に生産が急減し需要状況が悪化したことから、第4・四半期の経済は縮小するだろう。景気後退が一段と不可避になっている」と述べた。
「需要が急減しており、特に冬が近づく中、企業は高水準の在庫と予想を下回る売上高への懸念を強めている。年末に向けて景気悪化が加速するリスクが高まっている」と指摘した。
9月の消費者物価の前年比上昇率は9.9%で過去最高。インフレ高進が需要を冷やした。総合PMIの新規事業指数は46.3から45.0に低下し約2年ぶりの低水準となった。
サービス部門PMIは48.8から48.2に低下し20カ月ぶりの低水準。
投入価格指数と産出価格指数は共に過去最高に近い水準。投入価格指数は77.4から77.5に上昇した。
製造業PMIは48.4から46.6に低下し2020年5月以来の低水準。生産指数は46.3から44.2に低下した。
ウクライナ戦争の終結が見通せない中、今後1年の見通しは一段と悪化。将来の生産指数は45.3から44.8に低下し20年5月以来の低水準となった。
キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ケニンガム氏は、PMI速報値はインフレが高止まりする中でユーロ圏が深刻な景気後退に向かっていることを示す材料と指摘した。速報値を見る限り、ドイツがフランスより状況がかなり悪いようだとも述べた。
ドイツは、エネルギー価格高騰が特に製造業に打撃を与え、製造業PMIは2年半ぶりの低水準となった。
フランスは、インフレ高進を巡る懸念を受け、製造業、サービス部門共に前月から低下した。