[ニューヨーク 1日 ロイター] - 4日に始まる週の米国株式市場では、8日発表の4月米雇用統計が方向性を左右する鍵となる見通し。 非農業部門雇用者数の市場予想は21万3000人の増加。3月は12万6000人の増加だった。 このところの米株市場は方向性の定まらない展開が続いていたが、最近の経済指標や株価の低迷が天候の回復とともに上向いていくのか、それとも中長期のトレンドの始まりになるのかが、雇用統計の内容次第で確認される可能性がある。 過去2週間のS&P総合500種指数 .SPX の値動きは1日平均17.79ポイントで、3月上旬の平均12.43ポイントよりは拡大した。まだら模様の経済指標を受け、値動きが増幅された面が強い。 第1・四半期の企業決算は、利益は予想を上回っているものの、エネルギーセクターを中心に売上高は落ち込んでいる。 国内総生産(GDP)を含む米経済指標は低調だが、米連邦準備理事会(FRB)による早期利上げの可能性を後退させる要因とみなされており、市場の地合いを押し上げている。 フィデュシアリー・トラスト(ボストン)の最高投資責任者(CIO)、マイケル・ムラニー氏は「市場には互いに相殺し合うトレンドが数多く存在し、方向感に欠けた変動をもたらしている」と説明した上で、「目先は、雇用統計を含め、株買いを促す材料がぞろぞろと現れるとはみていない」と語った。 S&P総合500種指数は、終値ベースで過去最高値をつけた4月24日の水準から約1%以内。同日にはナスダック指数 .IXIC も過去最高値を更新した。 こうした高値圏での推移を考えると、売りも出やすい状況だ。
投資家はこれまで、リターンを追求し、安全資産とみなされる米国債より株式を選好してきたが、27日の週には米国債市場で売りが先行し、利回りが上昇した。高配当株である公共株や生活必需品株が大きく売られた要因の一つでもある。 BMOプライベート・バンク(シカゴ)のCIO、ジャック・アブリン氏は「ようやく見直しが行われているようだ。歴史的水準に照らして株式は割高だ。株式を割安に見せている市場は米国債市場だけだ」と指摘した。