[28日 ロイター] - アマゾン、マイクロソフト、インテルなど米IT大手は今週の決算発表で、顧客がクラウドサービスやデータセンターへの支出を削減していることを明らかにした。大企業が近い将来の景気後退に身構えている可能性がある。
クラウドサービスは、新型コロナウイルスの流行に伴う在宅勤務などを背景に、近年は一部IT大手のドル箱となってきた。
だが、ここにきて市場では設備能力の過剰に対する懸念が浮上。インフレに伴うコスト増加や金利上昇による消費低迷で投資が減るとの見方が出ている。ドル高も強い逆風だ。
アマゾンのクラウド部門「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」は、為替変動を調整したベースで4四半期連続で成長が鈍化。7─9月の増収率は28%と、前年同期の39%を下回り、2020年第4・四半期以降で最低となった。市場予想の31%も下回った。
インサイダー・インテリジェンスのプリンシパルアナリスト、アンドリュー・リプスマン氏は「AWSの業績鈍化は、企業がコスト削減に乗り出している明確なサインだ。アマゾンの最終損益は今後数四半期さらに圧迫される可能性が高い」と指摘した。
マイクロソフトのクラウド部門「アジュール」の7─9月の増収率も35%と、前年同期の50%を下回った。ビジブル・アルファがまとめた市場予想は36.5%。同社は10─12月も増収率が鈍化すると予想した。
アルファベットの「グーグル・クラウド」部門の7─9月の増収率は38%。前年同期の45%を大きく下回った。
<欧州と中国が不振>
YipitDataのリサーチスペシャリスト、マット・ウェグナー氏は、AWS、マイクロソフト、アルファベットのクラウド事業について「4月から(減速が)始まり、現在も続いている。原因は欧州だ」と指摘。
ユーロ圏のインフレ率は10%に迫っており、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、エネルギー高騰と金利上昇でマイナス成長のリスクが高まっていることを認めた。
インテルのデータセンター向け半導体部門は7─9月に27%の減収を記録。中国の法人顧客の需要低迷が一因だった。
同社は通期の業績予想を下方修正。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、来年に入っても景気の先行き不透明感が続くとの見通しを示した。
クラウドサービスはコストを削減する目的で利用されることが多く、この分野の予算削減は、厳しさを増す事業環境下の厳格なコスト管理を物語っており、特に懸念を呼び起こす可能性がある。