[21日 ロイター] - ユーロ圏の景況感は、サービス業が好調で4月は改善した。ただ製造業は引き続き低迷した。
S&Pグローバルが21日発表した4月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.4で、3月の53.7から上昇し11カ月ぶりの高水準となった。ロイターがまとめた予想中央値の53.7を上回った。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、総合PMIは景気回復の継続を示唆したが、よく見ると均一ではなく、サービス業と製造業の明暗が一層顕著になったと指摘した。
需要の増加に対応するため、企業は従業員数を増強した。雇用指数は53.3から54.7に上昇し昨年5月以来の高水準となった。
サービス部門PMIは56.6。市場予想(54.5)に反して前月の55.0から上昇した。
生活費の高騰にもかかわらず消費は堅調でサービス需要は拡大。新規事業指数は54.2から55.8に上昇し1年ぶりの高水準となった。
ダンスケ銀行のピエト・ハインズ・クリスチャンセン氏は、サービス業の主要なコスト要因の一つは賃金で、全体的な賃金の動きに密接につながることから欧州中央銀行(ECB)はサービスPMIの上昇に注目するとの見方を示した。
一方、製造業は需要が一段と落ち込み、PMIは47.3から45.5に低下。新型コロナウイルスのパンデミック開始以来、最低となった。
生産指数は48.5に低下。前月まで2カ月間、拡大していたが減少に転じた。
ただサプライチェーン(供給網)の改善が進み原材料コストを示す指数は約3年ぶりの低水準となった。販売価格を反映する産出価格指数も53.4から51.8に低下し2020年終盤以来の低水準となった。
キャピタル・エコノミクスの欧州シニアエコノミスト、フランジスカ・パルマス氏は「製造業とサービス業の両方で産出価格指数が一段と低下したのは好ましく、コアインフレ率がいずれ低下基調になることを示唆する」と述べた。「ECB当局者は5月の追加利上げを想定しつつも利上げ幅はまだ決めていないようだ。PMIの上昇継続は、より大幅な引き上げを選択する根拠になる」と指摘した。