[2日 ロイター] - 格付け会社フィッチ・レーティングスの米国債格下げの金融市場への影響について、大半の主要金融機関は短期的なものにとどまると見込んでいる。前回、米格付けが引き下げられた2011年に比べ、米経済が好調に推移していることが理由だ。
フィッチは1日、米国の外貨建て長期債格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げた。向こう3年間に予想される財政悪化に加え、一般政府債務が高水準で増加していることを反映した。見通しは安定的。
米格下げの影響を見極めようと、米金融市場では2日序盤、一部でリスク回避の動きが出ている。米株価は軒並み下落、ドル指数は約0.6%高で推移している。
ドイツ銀行のストラテジスト、スティーブン・ゼン氏は「格下げのニュースによる市場への影響は最終的に限定的になると見込む」と述べた。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が11年に米格下げに踏み切ったことに言及し、「投資家は11年の格下げを無傷で乗り越えた状況を覚えているほか、高水準の赤字財政支出に慣れてしまったこともあるだろう」と述べた。また、4日発表の米雇用統計が格下げのニュースに取って代わる可能性があるという見方を示した。
米債市場では格下げ直後、指標の10年債利回りが約3.6ベーシスポイント(bp)低下し、安全資産を選好する動きが浮き彫りになった。
JPモルガンの金利ストラテジスト、ジェイ・バリー氏は「11年の格下げ後、米債市場は非常に不安定になった。しかし、現在の米経済の弾力性と労働市場の逼迫を踏まえると、当時の米経済の基調は大きく異なっていた」と指摘した。
また、フィッチが米国のカントリーシーリングを「AAA」に据え置いたことは市場に安心感をもたらした。
ゴールドマン・サックスのチーフエコノミスト、ヤン・ハツィウス氏率いるエコノミストらは「カントリーシーリングが引き下げられていたら、米企業が発行する他のAAA格付けの証券にマイナスの影響が及んでいた可能性がある」と指摘した。
別の格付け会社ムーディーズは、米国債格付けを「AAA」としている。
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