[ニューヨーク 11日 ロイター] - 米企業の第2・四半期決算はまだら模様となっているが、米国株は堅調に推移している。これによって割高感が生じているため、第3・四半期以降の決算が堅調でなければ株価は年末に向けて持ちこたえられないかもしれない。
これまで発表されたS&P500社の第2・四半期決算は、利益がアナリスト予想を上回った企業の比率が約2年ぶりの高水準だった一方で、売上高が予想を上回った企業の比率は2020年初頭以来で最も低かった。
投資家はこの結果に満足しているようで、S&P500種総合株価指数は7月に決算シーズンが始まって以来じりじりと上昇し、年初に比べると16%高くなった。
ただ、米経済は今のところ、心配されたリセッション(景気後退)を免れているため、企業利益の好転を期待する声は強まっている。株価のバリュエーションが急上昇しただけに、年末に向けて発表される決算が期待を裏切るようなら、投資家は今ほど寛大ではなくなるかもしれない。
USバンク・アセット・マネジメントのエリック・フリードマン最高投資責任者は、市場は増益を期待しているとし、「今の市場は利益への期待で上昇しているが、増益はまだ達成されていない」と語った。
コメリカ・ウェルス・マネジメントのジョン・リンチ最高投資責任者は「市場は最初、『企業利益の裏付けが必要だ』と言っていたのが、『幸い、企業決算によって台無しにはならなかった』という状況に変わった。この結果、株価はさらに割高な領域に入った」と説明した。
リフィニティブIBESのデータによると、第2・四半期の企業利益は平均で前年同期比3.8%減少したとみられる。ただ、第3・四半期には1.3%、第4・四半期には9.7%、2024年には11.9%の増益が予想されている。
S&P500種の1年後の利益予想に基づく株価収益率(PER)は10日時点で19.1倍と、長期平均の15.6倍を大きく上回っている。昨年末は17倍弱だった。
アメリプライズ・ファイナンシャルの首席マーケットストラテジスト、アンソニー・サグリンベネ氏は「現時点ではバリュエーションがファンダメンタルズを追い抜いているため、企業は増益を達成できることを証明する必要が出てきた」と述べた。
<小売り大手が決算発表へ>
14日からの週にはウォルマートやホーム・デポなど、主要小売企業が決算を発表する。15日に発表される月次の小売売上高も市場に影響を及ぼすかもしれない。
市場の米経済見通しはおおむね好転したが、利上げの影響が遅れて出ることで、リセッションに陥る可能性を懸念する声も消えていない。米国債のイールドカーブは今もリセッション入りの警告を発し続けている。
リセッションになれば企業利益の見通しもがらりと変わり、株価のバリュエーションを圧迫しかねない。ネッド・デービス・リサーチによると、過去のリセッション期には企業利益が平均で年率24%減少している。
(Lewis Krauskopf記者)