[北京 18日 ロイター] - 中国は今年に入って景気回復が鈍く、経済の「血液」である軽油の需要見通しも暗そうだ。建設業界が減速して設備の稼働率が下がっていると同時に、輸出も低調で製造業を圧迫しているため、軽油需要は先細りが予想される。
ライスタッド・エナジーは今年下期の中国の軽油需要見通しを日量381万バレルと、従来の390万バレルから下方修正した。もっとも上期に比べると3.8%増える見通しとなっている。
国際エネルギー機関(IEA)は8月の報告書で、中国の下期のガソリン消費が、第2・四半期に比べ日量15万バレル減ると予想した。
軽油は中国の製油企業が生産する燃料の最大割合を占める。公式データによると7月の生産量は日量430万バレルで、全体の28.2%。
IEAとライスタッドはともに、中国の通年の軽油消費量見通しも引き下げている。
来年も需要は低迷を続ける見通しで、IEAは6月に来年の需要が今年に比べ日量5万バレル、1.4%しか伸びないとの見通しを示した。
中国の製油企業は高い稼働率を維持しているため、供給過剰分は在庫となっている。コンサルタント会社ロンジョンによると、6月の軽油在庫は1596万トンと、1月から9%増えた。これは中国が新型コロナウイルス封じ込めのために大規模なロックダウンを実施していた昨年第3・四半期並みの水準だ。
IEAは「経済全体の活動が低調で、在庫の増加が報告されていることから、生産された軽油とガソリンの大半が国内在庫に回ったことがうかがえる」とした。
第1・四半期には交通量が増えたため軽油需要が上向いたが、その後息切れした。
軽油需要の伸びを抑えている主因は、建設機械に大量の軽油を使う不動産セクターにある。6月の新規建設は、2019年の月間平均に比べて71.7%も低い水準だった。
一方、中国の7月の輸出は14.5%減と、コロナ禍が始まった2020年初頭以来で最も大きく落ち込んだ。これは軽油を大量消費する製造業に影を落としている。製造業はゼロコロナ政策解除後に一時回復したが、その後何カ月もムードが悪化し続けている。
ウッド・マッケンジーの石油・化学コンサルタント、シア・シーチン氏は「世界的に景気が悪化し外需が弱いことと、製造業の回復が予想より鈍いことも、軽油需要を圧迫し続けそうだ」と述べた。
中国の製油企業は上期、軽油の海外輸出を3倍以上に増やし、アジアにおける軽油の大きな利ざやを享受してきた。この勢いが続くかどうかは、中国政府が発給する輸出枠次第で決まる。
ロンジョンとアナリストの集計によると、8月の軽油輸出は65万―80万トンと、7月の実績見込み100万トンに比べて減少が見込まれている。
(Andrew Hayley記者)