[ソウル 24日 ロイター] - 韓国銀行(中央銀行)は24日、政策金利を3.50%に据え置いた。インフレが鈍化し経済成長も減速する中、5会合連続で据え置きを決定し、李昌ヨン総裁はタカ派的な姿勢を弱めた。
据え置きは過去4回の会合と同様に政策委員7人の全会一致で決定した。ロイターがエコノミスト43人を対象に実施した調査でも据え置きが予想されていた。
中銀は今年の成長率予測を1.4%とし、5月時点から据え置いたが、来年については2.3%から2.2%に下方修正した。インフレ率予測も据え置いた。
また、経済見通しについて「中国経済の今後の成長と国内への影響、主要先進国の経済成長、IT(情報技術)業界の回復時期を巡る不確実性が高い」との見方を示した。
李総裁は記者会見で「金融政策はインフレより成長により重きを置くべきと主張する人がいるかもしれない」としつつ、「インフレが最も重要であることに変わりはなく、次に金融の安定(が重要)だ」と述べた。
7月の会合と同様、委員6人があと1回の利上げに含みを残したことも明らかにしたが、自身の見解は示さなかった。ただ、年内もしくは米連邦準備理事会(FRB)に先行して利下げする可能性を排除しなかったことから、アナリストらは総裁がタカ派スタンスを弱めたと受け止めた。
HIインベストメント・セキュリティーズのフィクストインカムアナリスト、Kim Myoung-sil氏は「年内は金利が据え置かれる見通しだが、マクロ経済環境を巡る見方が悪化するに伴い利下げの時期は早まりつつある」と述べた。
韓国中銀は今年1月に利上げして以降、金融政策の据え置きを続けており、エコノミストの多くは2021年8月から23年1月にかけて計300ベーシスポイント(bp)の利上げを実施した引き締め局面は終了したとみている。
国内の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は昨年7月に24年ぶり高水準の6.3%でピークを打った後は鈍化傾向にあり、今年7月は2.3%だった。ただ、中銀の中期目標である2%を依然やや上回っており、今後数カ月で3%前後に上昇すると予想されている。
投資家の間では韓国の景気減速に懸念が浮上している。最大の輸出市場である中国をはじめとする世界的な需要鈍化や半導体産業の回復の遅れが、インフレ鈍化による恩恵の一部を打ち消している。
家計債務の増加も当局者の懸念材料となっている。第2・四半期の家計債務は住宅ローン需要の増加を背景に1年半ぶりの速いペースで伸びた。