[東京 31日 ロイター] - 経済産業省が31日公表した7月の鉱工業生産指数(速報)は前月比2.0%低下し、2カ月ぶりのマイナスとなった。ロイター集計による民間予測中央値(前月比1.4%低下)を下回った。基調判断は従来の「緩やかな持ち直し」から「一進一退」に引き下げた。
<スマホ需要弱く半導体メモリ14.5%減>
主な減産業種は、半導体製造装置や金型などの生産用機械、半導体メモリや固定コンデンサなどの電子部品・デバイス、電気・情報通信機械など。
半導体メモリはスマートフォン向け需要減で前月比14.5%減となった。例年であれば秋冬モデル向けに増産される時期であることを踏まえると大きなマイナスで「先行きも弱い可能性」(経産省幹部)がある。
半導体製造装置の生産水準も「現状そこまで悪くないが、半導体メモリ需要を踏まえると先行き弱い可能性がある」(同)という。
<中国不動産問題、鉄鋼などの市況に影響>
企業の生産計画に基づいた予測指数は8月が前月比2.6%上昇、9月が同2.4%の上昇となっている。計画の上振れ傾向を考慮した試算値は8月が前月比1.4%低下となった。経産省幹部は「米利上げ見通しが不透明で海外の設備投資が輸出に影響する」と指摘、「海外景気下振れリスクがあり生産の先行きは注視が必要」としている。
中国の不動産の不良債権問題は、日本国内の鉄鋼やプラスチックなど建材などの市況に影響があるという。
経産省では、4-7月の生産実績が横ばい圏内で前月比増減を繰り返したほか、8月の予測補正値もマイナスとなり、ならしてみると一進一退の状況にあるとして、基調判断を引き下げた。
*経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html [http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html]
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(竹本能文)