[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリア統計局が6日発表した第2・四半期の実質国内総生産(GDP)は前期比、前年比ともに市場予想をやや上回る伸びとなった。輸出と公共投資がけん引する一方、高水準の金利が需要を抑制し家計消費は低迷した。
GDPは前期比0.4%増加。市場予想は0.3%増だった。第1・四半期GDPは0.4%増に上方修正された。
前年比では2.1%増加。市場予想は1.8%増。
学生や観光客の増加に伴う純輸出と公共投資が成長をけん引し、企業在庫の大幅な減少を補った。
ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は「豪経済はさまざまな課題を抱えながらも、依然として驚くほど底堅い」と指摘した。
その上で「家計は厳しい状況が続き、政府支出は高水準から緩やかになり、設備投資も利益の圧迫を受けて鈍化する」との見方を示し、成長は弱まると予想した。
成長の原動力だった家計消費は0.1%の増加にとどまり、生活必需品やサービスへの支出が増加分を占めた。
貯蓄率はさらに低下し3.2%と2008年以来の低水準となった。生活費の急上昇や、11%増となった住宅ローンの返済増加などが背景にある。
チャルマーズ財務相は高水準の金利と中国を中心とする世界的な不確実性により、景気は大幅に減速するとの見通しを示した。リセッション(景気後退)は予想していないとした。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、マルセル・ティエリアント氏は「今回のやや強めの数字が中銀に引き締めサイクルの再開を促すかどうかは疑問だ。中銀が最も懸念しているのは個人消費が健全がどうかであり、きょうの数字はその不調を浮き彫りにした」と指摘した。
市場は、オーストラリア準備銀行(豪中銀)が年内に最後の利上げを行う確率を30%程度しか織り込んでいない。
第2・四半期の単位労働コストは前年比7.2%増と引き続き大幅な伸びを示したが、生産性は依然低迷しており、労働時間当たりGDPは前期比2%減少した。
BISオックスフォード・エコノミクスのマクロ経済予測責任者ショーン・ラングケーク氏は労働コストについて「インフレはピークに達したが、これは豪中銀にとって長く懸念材料となるだろう」と語った。