Joe Cash
[北京 13日 ロイター] - ロジウム・グループが13日発表したリポートによると、欧米企業が中国から他の途上国に投資先を切り替える動きが続いている。最も多くの資金を集めているのがインドで、次いでメキシコ、ベトナム、マレーシアの順だ。
世界全体の経済成長に対する中国の寄与度は高まり続けている。それでも欧米企業が中国に背を向ける背景には、同国の事業環境や景気回復ペース、政治情勢を巡る強い懸念がある。
リポートで示された欧米企業による発表ベースのインド向け「グリーンフィールド投資(現地法人を新規設立して工場や販路を整備すること)」は2021─22年に約650億ドル、400%も急増した。一方18年に1200億ドルまで膨らんだ中国向けは、昨年200億ドル弱に落ち込んだ。
欧米企業によるグリーンフィールド投資拡大は、加工品や半導体など地政学的に慎重な対応が必要なコモディティーの調達における選択肢を確保するとともに、サプライチェーン(供給網)での中国依存を減らす狙いがある、とリポートは指摘する。
ロジウムは「(投資先の)多様化が大きく進んでいる」と分析。ただ中国は世界的なサプライチェーンの中心的存在である以上、先進諸国がいわゆる「デリスク(リスク低減)」を達成するには何年もかかるとみている。
また欧米企業が投資している各市場が中国の貿易や投資に大きく依存している以上、これらの企業の中国事業自体が急速に縮小する公算は小さく、世界全体の輸出や工業生産、サプライチェーンで中国のシェアが高まり続けてもおかしくないという。