[上海 14日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は一部の国内大手銀行に対し、顧客との外貨取引で生じたドル売りポジションをすぐに反対売買で解消することを控えるよう窓口指導した。特定の水準に到達するまでスポット市場で持ち高を維持するよう求めており、人民元の下落圧力を和らげる狙いがある。
大半の銀行はスポットのドル・人民元取引であらかじめ決められた範囲内でポジションを売り越しか買い越しにすることが認められている。
窓口指導を受けて、企業からの大量のドル買い需要に応じてポジションをドル売りに傾けた銀行は、反対売買せずにしばらく持ち高を維持することになる。
関係筋によると、人民銀は複数の商業銀行と今週会合を開いた際に窓口指導を行った。人民銀はまた、銀行に対し、5000万ドル以上のドル購入を企業が求めている場合は人民銀から許可を取得する必要があると説明したという。
元の対ドル相場は年初から5%超下落し、14日は1ドル=7.2735元で推移。アジア通貨で下落率上位に入っている。
<大型連休>
中国では例年10月上旬の大型連休中に海外旅行者が増え、ドル需要が急増する。
関係筋によると、銀行はドル購入を控えるよう顧客に促すことを当局から指示されているという。
BNPパリバのアジア太平洋マクロ戦略・新興市場調査部門責任者シド・マサー氏は「人民元安の原因は非常に単純だ」と指摘。「中国の金利は低く活動が鈍い。そのため中国に投資される限界資本の収益率が他地域ほど高くなく、それが資本の流れに影響を与えている」と分析した。