Jorgelina do Rosario
[ロンドン 27日 ロイター] - 欧州復興開発銀行(EBRD)は27日、ロシアの輸入品のうち中国人民元建てで代金を請求される割合が2022年に20%となり、前年の3%から急上昇したとする報告書を公表した。ウクライナ侵攻に伴う制裁でロシアが世界の金融システムから切り離されたことが背景。
ドルやユーロ建ての割合は同時期に最大80%から67%に低下したという。
報告書は「ロシアが22年2月にウクライナに本格侵攻し、欧州連合(EU)や米国、その他多くの先進国が経済制裁を発動した後、ロシアの輸入はますます元建てで代金を請求されるようになった」と指摘した。
22年末までには中国からの輸入で元建て請求が占める割合は63%となり、1年前の約25%から上昇。「主にドルとロシアルーブルに取って代わった」という。
モンゴルやタジキスタンなど、経済制裁を科していないものの、中国人民銀行(中央銀行)と通貨スワップラインを結んでいる第三国でもロシアとの貿易における人民元利用が拡大している。
報告書は「国際貿易に関わる企業は圧倒的に米国の銀行システムを通じた決済を必要とするため、ドルの優位性は国際的な制裁をより効果的なものにしている」とする一方、「同時に、経済制裁は時間の経過とともに媒介通貨(ビークルカレンシー)としてのドルの魅力を低下させ、そのためにドルの優位性を低下させるかもしれない」と指摘した。