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人工知能企業C3.aiの株価は、1月月初来に20%以上も下落
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最近のハイテク株の全体的な下落に加え、C3.aiは2022年度第2四半期の財務状況を受けてさらなる下落圧力に直面
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長期投資家は22ドル前後での投資も検討可能
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ProShares S&P Kensho Smart Factories ETF (NYSE:MAKX)
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Global X Robotics & Artificial Intelligence ETF (NASDAQ:BOTZ)
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Robo Global® Artificial Intelligence ETF (NYSE:THNQ)
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iShares Morningstar Small-Cap Growth ETF (NYSE:ISCG)
法人レベルのAIソフト・ウェア・グループであるC3.ai (NYSE:AI) の株価は、過去52週間で約83%、新年に入ってからは約20.5%下落している。一方、Dow Jones US Softwareインデックスは、過去12ヶ月で約10.2%のリターンを記録した後、1月には15.3%低下している。
企業がAIを搭載したアプリケーションを構築できるプラットフォームを提供するC3.aiは、2020年12月に株式を公開し、100ドルから取引を開始した。数週間で株価は185ドルを目前まで上昇するなど史上最高値を記録したが、この水準は現在、急速に過去のものとなっている。
株価は水曜日に23.46ドルで終了した。52週間のレンジは22.56~176.94ドル、時価総額は23億ドルとなっている。
パンデミック時のデジタル化の流れで、機械学習とAIが注目されている。最近の指標では、
「世界の人工知能(AI)ソフトウェアの収益は、2021年から21.3%増加し、2022年には625億ドルに達すると予測」されている。
その結果、Amazon (NASDAQ:AMZN)、International Business Machines (NYSE:IBM)、Microsoft (NASDAQ:MSFT) )などの大手ハイテク企業が、この分野に大きなリソースを投入している。
一方、C3.aiのような中小企業も独自の技術やソフトウェア・プラットフォームを開発している。市場が注目する他のAI銘柄には、Palantir Technologies(NYSE:PLTR)、 Splunk (NASDAQ:SPLK)、Uipath(NYSE:PATH)、Upstart (NASDAQ:UPST)などがある。
2021年12月1日、C3.aiは第2四半期の企業決算を発表し、その中で2022年の見通しも示した。売上高は5,830万ドルで、前年同期比41%増。そのうち、サブスクリプション収入は、前年同期比32%増の4,740万ドルだった。調整後の1株当たり純損失は23セントだった。
同社の最も重要な顧客は、石油サービス・グループのBaker Hughes(NYSE:BKR)である。C3.aiの当四半期の顧客数は合計で104社となり、前年同期比で63%増だった。
この結果について、CEOのThomas M. Siebel氏は次のように述べている。
「我々は、Baker Hughesとの重要な関係を拡大した。契約期間を延長し、その価値を大幅に高めている。これは将来のC3 AIの収益源につながるだろう。」
四半期決算発表前、株価は35ドル前後で推移していた。1月24日には、22.56ドルという過去最安値を記録した。現在、C3.ai株は23.46ドルとなっている。
C3.ai株の見通し
Investing.comに寄せられた10人のアナリストによると、AI株の評価は「ニュートラル」となっている。
また、アナリストの向こう12ヶ月の目標株価の中央値は56.44ドルで、現在の水準から140%以上の上昇を示唆している。12ヶ月間の株価レンジは、現在31ドルから103ドルの間となっている。
出所:Investing.com
しかし、株価収益率(PER)や株価売上高倍率(PSR)、ターミナル値を考慮する、多くの評価モデルによると、InvestingProによるAI株の平均適正株価は27.45ドルとなっている。
出所:InvestingPro
つまり、ファンダメンタル・バリュエーションは、株価が17%程度上昇する可能性を示唆している。
また、100以上の要素を情報技術セクターの同業他社と比較してランク付けすることで決定されるC3.aiの財務健全性にも注目できる。
出所:InvestingPro
キャッシュ・フローと成長の観点からは、同社は5点満点中2点である。しかし、全体的なスコアは1であり、業績ランキングとしては弱いものとなっている。
現在、AI株のPBRは2.5倍、PSRは11.9倍となっている。これに対し、同業他社はそれぞれ8.2倍、11.5倍だ。つまり、最近、多くのハイテク株の価格が調整されているにもかかわらず、この業界はまだ大きく価値を損なってはいないということになる。
しかし、Brookings Institutionによると、現在40カ国以上がAI戦略プランを策定しているという。したがって、AI分野は今後数四半期のうちに株式市場の関心を集める可能性が高いと考えられる。多くの投資家が、C3.aiのような株の大幅な下落を利用することを期待している。
AI株をポートフォリオに組み入れる
短期的なボラティリティを気にしないC3.aiの強気筋は、下落局面での買いを検討してもいいだろう。目標価格は27.45ドルで、これはInvestingProが示す適正株価である。
あるいは、AI株を保有するETFの購入を検討することもできる。その例としては、次のようなものがある。
最後に、C3.ai株の下落がすぐに終わると考える投資家は、AI株のキャッシュ・セキュアード・プット・オプションを売ることを検討してもよいかもしれない。なお、この方法はオプションを伴うため、すべての投資家に適しているわけではない。
キャッシュ・セキュアード・プット・オプションの売り
このような強気のトレードは、(プット売りによる)プレミアムを受け取りたい人や、現在の市場価格23.46ドルよりも安い価格でAI株を所有したい人にとって、特に魅力的なものとなるだろう。
例えば、投資家が4月14日に満期を迎える行使価格22.50ドルのプットを売った場合、約2.65ドルのプレミアムを受け取ることができる。したがって、満期日の売り手の最大のリターンは、取引手数料やコストを除いて、オプションが無価値で失効した場合の265ドルとなる。
4月14日の満期までの間に、このプット・オプションがイン・ザ・マネー(AIの株価が行使価格22.50ドルを下回ること)になれば、このプット・オプションの権利を行使することができる。
権利が行使された場合、プット・オプションの売り手は、オプションの権利行使価格22.50ドルでC3.aiの株式を100株、1契約あたり合計2,250ドルで購入する義務を負う。この場合、AIの株式を1株あたり22.50ドルで所有することになる。
プット・オプションの売り手がAI株を割り当てられた場合、最大のリスクは株式保有の場合と同様だが(つまり、理論的には株価がゼロになる可能性がある)、受け取ったプレミアム(100株で265ドル)で一部相殺される。
この例の損益分岐点は、権利行使価格(22.50ドル)から受け取ったオプション・プレミアム(2.65ドル)を差し引いた19.85ドルとなる。この株価を下回って権利が行使されると、売り手は損失を被り始める。
キャッシュ・セキュアード・プット・オプションの売りは、現在の市場価格で企業の株式を買い取るよりも適度に保守的な戦略になる。これは、今後数週間のC3.ai株の変動(特に決算発表前後)を利用するための方法である。
プットを売った結果、AIの株式を保有することになった投資家は、株式の潜在的なリターンを高めるために、カバード・コールの設定をさらに検討することができる。このように、キャッシュ・セキュアード・プット・オプションの売りは、株式所有の第一歩とも言えるだろう。
結論
企業向けAIソフトウェア企業であるC3.aiの株価は、2020年12月にみられた185ドル近くの過去最高値から大きく離れている。株式市場は、同社が収益性への明確な道筋を持たないことや、最大の顧客であるBaker Hughesに過度に依存していることを懸念している。
多くのハイテク株が忘れられない月の終わりを迎える中、AI株は今、長期投資家にとってより良いバリュエーションを提供している。したがって、2~3年のスパンで株価をみることができる読者は、C3.ai株の押し目買いすることを検討してもよいだろう。