■成長戦略と2017年2月期の取り組み
キリン堂ホールディングス (T:3194)は第1次中期経営計画の基本テーマを実現するための具体的な施策として、売上総利益拡大策としての7項目と「販管費の計画内コントロールの徹底」の、合わせて8項目を掲げている。
売上総利益については売上高拡大による利益増と、利益率拡大とに分けて検討され、対策が示されている。
これらの施策は、2017年2月期だけで完了するという性格のものではなく、2020年2月期に向けて継続的に行われるべきものだ。
以下では主要な項目について、2017年2月期の具体的施策も含めて詳述する。
(1)既存店の活性化 同社の2016年2月期の既存店売上高の月次動向を見ると、売上高の上下動は基本的に客数の変動によってもたらされていることがわかる。
この状況は2016年2月期に限ったことではなく、ここ数年継続している傾向であり、同社のみならず業界全体に見て取れる傾向だ。
同社が打ち出した既存店の活性化策は、この現実を踏まえて、来店客数をいかにして安定的かつ右肩上がりの状況に変えていくか、に重点が置かれている。
具体的な対策として同社は1)ポイントカードを利用した会員向け販促の推進と2)客の利便性向上と未病対策の提案型接客の2つを打ち出し、取り組んできている。
月間来店ポイントカード会員については、2014年4月に現行の新ポイントカード制へと移行したが、これまでのところ順調に進捗している。
2016年2月期おいて会員数は121万人に拡大し、会員売上比率は76.5%にまで上昇した。
同社の店舗数が334店であるため、1店当たりの会員数は4,000人弱という計算になる。
同社はこの数を5,000人にまで高めることを目指している。
ポイントカード会員の平均購入単価は、非会員のそれに比較して倍近く高い状況にあるため、会員数の拡大は単価の面でも既存店売上高を押し上げることが期待される。
会員数拡大のために同社はキャンペーン実施などを行っている。
同社の店舗に一度でも来店すれば、その場でカードを作成して会員になることがある程度想定されるため、今までキリン堂に来ていない客層をいかに取り込むかが重要なポイントだと弊社ではみている。
同社は関西地区への集中出店を行っているものの、まだ店舗拡大余地が大きく、その意味では、既存店舗の対象商圏が想定よりも広い状況にある。
したがって、新規顧客を取り込む余地はまだかなりあると弊社では考えている。
来店客の利便性向上と未病対策の提案型接客は、同社の「強み」についての項で述べたことと同じだ。
すなわち、従業員に浸透する未病対策への意識を、カウンセリング営業という形で行動に移し、販売増という形で業績にまで落とし込んで行こうという取り組みだ。
この点については、前述したように、同社従業員の地域コミュニティへの浸透度や店舗のドミナント出店の効果などから、成功する素地は十分にあると考えている。
従業員の教育・研修や売り場の改装などとも密接に関連するテーマであり、それらについての施策も含めて、今後の進捗を期待を持って見守りたいと考えている。
(2)計画に沿った新規出店と早期立ち上げ 同社は第1次中期経営計画として、3ヶ年で45店舗のドラッグストア出店を計画している。
初年度11店舗、2年目13店舗(他に調剤薬局3店舗)を新規出店した。
最終年度の2017年2月期は21店舗(他に調剤薬局2店舗)を出店する計画だ。
地域的にはこれまで同様、関西地区への集中出店となる見通しだ。
2017年2月期の出店戦略のポイントは都市型出店を増加させる点だ。
前述のように、同社は300坪タイプのロードサイド・郊外型店舗を基本に成長を遂げてきた。
結果的に都市型店舗が少なく、都心地域において手薄な状況となっているため、今後はその空白地域を埋めに行く方針だ。
同社は2016年2月に「北心斎橋店」をオープンした。
これは都市型モデルで、かつ、インバウンド需要の取り込みを狙った店舗でもある。
この北心斎橋店を先行モデルとして、2017年2月期は都市型店舗の出店・フォーマットの確立を進める予定だ。
設備投資額は23店舗の新規出店と店舗改装費、システム投資など含めて総額で3,237百万円を計画している。
設備投資額は前期の1,972百万円から大幅増額となるが、全額自己資金で賄う予定だ。
弊社では、同社の都市型店舗投資についてはごく自然な動きであると考えている。
同社は、自社の出店モデルに基づいて試算すると関西地区だけで500店の出店余地があるとしている。
現在の同社にとってはまだ200以上の新規出店余地があるということだが、今後は自ずと都市型出店が増えてくると考えているからだ。
投資家としての視点は、同社が都市型店舗の出店モデルを、いかに早期に確立できるかどうかにあると考えている。
この点は同社自身も同じ思いで、2017年2月期の新規都市型3店舗について、都心部におけるインバウンド向け、その周辺地域での出店、及び職住隣接地域での出店とタイプを分けて出店し、経験値とデータの蓄積に努める方針だ。
出店の一方で退店も計画しており、2017年2月期は11店舗の退店を計画している。
社内の退店基準に従って退店作業を進め、収益力の底上げを図るためだ。
現状で退店基準にかかっている店舗については、今期以降数年間で退店作業が完了する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
売上総利益については売上高拡大による利益増と、利益率拡大とに分けて検討され、対策が示されている。
これらの施策は、2017年2月期だけで完了するという性格のものではなく、2020年2月期に向けて継続的に行われるべきものだ。
以下では主要な項目について、2017年2月期の具体的施策も含めて詳述する。
(1)既存店の活性化 同社の2016年2月期の既存店売上高の月次動向を見ると、売上高の上下動は基本的に客数の変動によってもたらされていることがわかる。
この状況は2016年2月期に限ったことではなく、ここ数年継続している傾向であり、同社のみならず業界全体に見て取れる傾向だ。
同社が打ち出した既存店の活性化策は、この現実を踏まえて、来店客数をいかにして安定的かつ右肩上がりの状況に変えていくか、に重点が置かれている。
具体的な対策として同社は1)ポイントカードを利用した会員向け販促の推進と2)客の利便性向上と未病対策の提案型接客の2つを打ち出し、取り組んできている。
月間来店ポイントカード会員については、2014年4月に現行の新ポイントカード制へと移行したが、これまでのところ順調に進捗している。
2016年2月期おいて会員数は121万人に拡大し、会員売上比率は76.5%にまで上昇した。
同社の店舗数が334店であるため、1店当たりの会員数は4,000人弱という計算になる。
同社はこの数を5,000人にまで高めることを目指している。
ポイントカード会員の平均購入単価は、非会員のそれに比較して倍近く高い状況にあるため、会員数の拡大は単価の面でも既存店売上高を押し上げることが期待される。
会員数拡大のために同社はキャンペーン実施などを行っている。
同社の店舗に一度でも来店すれば、その場でカードを作成して会員になることがある程度想定されるため、今までキリン堂に来ていない客層をいかに取り込むかが重要なポイントだと弊社ではみている。
同社は関西地区への集中出店を行っているものの、まだ店舗拡大余地が大きく、その意味では、既存店舗の対象商圏が想定よりも広い状況にある。
したがって、新規顧客を取り込む余地はまだかなりあると弊社では考えている。
来店客の利便性向上と未病対策の提案型接客は、同社の「強み」についての項で述べたことと同じだ。
すなわち、従業員に浸透する未病対策への意識を、カウンセリング営業という形で行動に移し、販売増という形で業績にまで落とし込んで行こうという取り組みだ。
この点については、前述したように、同社従業員の地域コミュニティへの浸透度や店舗のドミナント出店の効果などから、成功する素地は十分にあると考えている。
従業員の教育・研修や売り場の改装などとも密接に関連するテーマであり、それらについての施策も含めて、今後の進捗を期待を持って見守りたいと考えている。
(2)計画に沿った新規出店と早期立ち上げ 同社は第1次中期経営計画として、3ヶ年で45店舗のドラッグストア出店を計画している。
初年度11店舗、2年目13店舗(他に調剤薬局3店舗)を新規出店した。
最終年度の2017年2月期は21店舗(他に調剤薬局2店舗)を出店する計画だ。
地域的にはこれまで同様、関西地区への集中出店となる見通しだ。
2017年2月期の出店戦略のポイントは都市型出店を増加させる点だ。
前述のように、同社は300坪タイプのロードサイド・郊外型店舗を基本に成長を遂げてきた。
結果的に都市型店舗が少なく、都心地域において手薄な状況となっているため、今後はその空白地域を埋めに行く方針だ。
同社は2016年2月に「北心斎橋店」をオープンした。
これは都市型モデルで、かつ、インバウンド需要の取り込みを狙った店舗でもある。
この北心斎橋店を先行モデルとして、2017年2月期は都市型店舗の出店・フォーマットの確立を進める予定だ。
設備投資額は23店舗の新規出店と店舗改装費、システム投資など含めて総額で3,237百万円を計画している。
設備投資額は前期の1,972百万円から大幅増額となるが、全額自己資金で賄う予定だ。
弊社では、同社の都市型店舗投資についてはごく自然な動きであると考えている。
同社は、自社の出店モデルに基づいて試算すると関西地区だけで500店の出店余地があるとしている。
現在の同社にとってはまだ200以上の新規出店余地があるということだが、今後は自ずと都市型出店が増えてくると考えているからだ。
投資家としての視点は、同社が都市型店舗の出店モデルを、いかに早期に確立できるかどうかにあると考えている。
この点は同社自身も同じ思いで、2017年2月期の新規都市型3店舗について、都心部におけるインバウンド向け、その周辺地域での出店、及び職住隣接地域での出店とタイプを分けて出店し、経験値とデータの蓄積に努める方針だ。
出店の一方で退店も計画しており、2017年2月期は11店舗の退店を計画している。
社内の退店基準に従って退店作業を進め、収益力の底上げを図るためだ。
現状で退店基準にかかっている店舗については、今期以降数年間で退店作業が完了する見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)