通常国会は6月1日の会期末を控え衆参ダブル選挙や消費増税先送りの観測が広がるなど、ヤマ場を迎えています。
ですが、なぜか盛り上がりを欠いています。
安倍政権は消費税率引き上げを先送りすることで株価をテコ入れし、参院選を乗り切る魂胆かもしれません。
経済政策運営のミスをはじめ、いくらでもつけ入るスキがあるように見えるのに、野党はなぜ攻勢をかけないのでしょうか。
安倍晋三首相は国会閉幕後に記者会見し、経済情勢を踏まえ消費増税を先送りする方針を正式表明するようです。
首相自身は「解散の『か』の字も考えていない」などとはぐらかしていますが、消費増税の延期を争点に衆院を解散して衆参同日選に持ち込むとの見方は根強く残っています。
思惑通りに同日選で圧勝し、両院で与党勢力が3分の2以上の議席を確保することができれば、悲願の憲法改正に向け国会発議が可能になります。
7月の参院選で改選を迎える自公59議席を25議席以上に増やさないと3分の2に達しないため、衆院の議席をある程度減らすリスクを冒しても参院での勢力拡大を狙っているようです。
しかし、ダブル選挙というのは与党に圧倒的な支持率があってこそ成果が得られる戦法です。
足元はそこまでの高支持率とは言えず、2012年12月、2014年12月の総選挙の時と比べても、依然40%を超える高支持率ながら支持率低下は鮮明です。
ダブル選挙を実施した場合、衆院は20議席程度を失うとの内部調査の結果が出たため、安倍首相は参院での勢力拡大につながらないと判断し、同日選の実施を断念したようです。
ある自民党関係者は「今ダブル選挙に踏み切ったら衆院は議席減、参院はわずかな上積みが精一杯でメリットは感じられない」と話しています。
安倍首相の政権運営は、最近は陰りが見え始めています。
内閣府が5月18日に発表した2016年1−3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比+0.4%と、2四半期ぶりにプラスに転じ、年率換算+1.7%となりました。
ただ、うるう年の影響を差し引くと成長率は年率換算で0%台にとどまり、回復ペースの鈍化は鮮明です。
消費者物価指数が目標通りに上昇していないほか株価も下落しており、「アベノミクスは失敗」と海外メディアでは断じられています。
安倍政権は次期衆院選での議席減が必定でしょう。
失うリスクが大きいのは政権与党の方で、野党には失うものはほとんどありません。
それにもかかわらず、勝負に出られない野党には不甲斐なさを感じないではいられません。
民進党の江田代表代行は、安倍首相が解散に踏み切る可能性や、消費増税の時期をめぐる対応など政治情勢を見極めたうえで内閣不信任決議案の提出を判断するとしています。
一方、他の野党は、不信任案が衆院解散の引き金になると及び腰になっており、足並みがそろっていません。
10%への引き上げを少し先送りにすると決めたところで短期的な株高・円売りの材料にしかならず、景気回復など望めないでしょう。
2014年11月の衆院解散に当たり、安倍首相は2017年4月の増税延期について「再び延期することはない」と断言しましたが、結局日本経済を増税できる状況まで回復させることはできませんでした。
野党ならこの点を厳しく追及するべきでしょう。
ある自民党関係者は「野党は自公に対して政策的な材料がないから反転攻勢に出られない」と完全になめてかかっています。
野党には、消費税率の8%から5%に引き下げといった斬新な政策提言が必要だと思いますが、もはや期待できません。
(吉池 威)
ですが、なぜか盛り上がりを欠いています。
安倍政権は消費税率引き上げを先送りすることで株価をテコ入れし、参院選を乗り切る魂胆かもしれません。
経済政策運営のミスをはじめ、いくらでもつけ入るスキがあるように見えるのに、野党はなぜ攻勢をかけないのでしょうか。
安倍晋三首相は国会閉幕後に記者会見し、経済情勢を踏まえ消費増税を先送りする方針を正式表明するようです。
首相自身は「解散の『か』の字も考えていない」などとはぐらかしていますが、消費増税の延期を争点に衆院を解散して衆参同日選に持ち込むとの見方は根強く残っています。
思惑通りに同日選で圧勝し、両院で与党勢力が3分の2以上の議席を確保することができれば、悲願の憲法改正に向け国会発議が可能になります。
7月の参院選で改選を迎える自公59議席を25議席以上に増やさないと3分の2に達しないため、衆院の議席をある程度減らすリスクを冒しても参院での勢力拡大を狙っているようです。
しかし、ダブル選挙というのは与党に圧倒的な支持率があってこそ成果が得られる戦法です。
足元はそこまでの高支持率とは言えず、2012年12月、2014年12月の総選挙の時と比べても、依然40%を超える高支持率ながら支持率低下は鮮明です。
ダブル選挙を実施した場合、衆院は20議席程度を失うとの内部調査の結果が出たため、安倍首相は参院での勢力拡大につながらないと判断し、同日選の実施を断念したようです。
ある自民党関係者は「今ダブル選挙に踏み切ったら衆院は議席減、参院はわずかな上積みが精一杯でメリットは感じられない」と話しています。
安倍首相の政権運営は、最近は陰りが見え始めています。
内閣府が5月18日に発表した2016年1−3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比+0.4%と、2四半期ぶりにプラスに転じ、年率換算+1.7%となりました。
ただ、うるう年の影響を差し引くと成長率は年率換算で0%台にとどまり、回復ペースの鈍化は鮮明です。
消費者物価指数が目標通りに上昇していないほか株価も下落しており、「アベノミクスは失敗」と海外メディアでは断じられています。
安倍政権は次期衆院選での議席減が必定でしょう。
失うリスクが大きいのは政権与党の方で、野党には失うものはほとんどありません。
それにもかかわらず、勝負に出られない野党には不甲斐なさを感じないではいられません。
民進党の江田代表代行は、安倍首相が解散に踏み切る可能性や、消費増税の時期をめぐる対応など政治情勢を見極めたうえで内閣不信任決議案の提出を判断するとしています。
一方、他の野党は、不信任案が衆院解散の引き金になると及び腰になっており、足並みがそろっていません。
10%への引き上げを少し先送りにすると決めたところで短期的な株高・円売りの材料にしかならず、景気回復など望めないでしょう。
2014年11月の衆院解散に当たり、安倍首相は2017年4月の増税延期について「再び延期することはない」と断言しましたが、結局日本経済を増税できる状況まで回復させることはできませんでした。
野党ならこの点を厳しく追及するべきでしょう。
ある自民党関係者は「野党は自公に対して政策的な材料がないから反転攻勢に出られない」と完全になめてかかっています。
野党には、消費税率の8%から5%に引き下げといった斬新な政策提言が必要だと思いますが、もはや期待できません。
(吉池 威)