13日の欧米外為市場では、ドル・円は下げ渋る展開を予想する。
来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に利下げが意識されやすく、ドル売り基調は続く見通し。
ただ、トランプ米大統領の米中協議への楽観的な見通しから、摩擦懸念は一服しそうだ。
前日の海外市場で注目された米消費者物価指数(CPI)は前月比で予想と一致したが、前年比はコア指数も含め想定を下回り、インフレ鈍化を印象づけた。
それを受け、連邦準備制度理事会(FRB)は18-19日のFOMCで7月利下げを示唆するとの見方から、ドル売り方向に振れやすい地合いが続く。
ただ、ドル・円は108円前半で押し目買いが観測され、底堅さも目立つ。
本日のアジア市場では、午前中に発表された豪雇用統計で失業率の悪化を手がかりに豪ドル・円をはじめクロス円が弱含んだ。
それを受けドル・円は一時108円10銭台に軟化したが、その後は値を戻している。
この後の欧米市場でも、ドルの下げは限定的となりそうだ。
トランプ大統領が米中交渉に関し「最終的には合意」などとやや楽観的な見方を示し、貿易摩擦に対する過度の懸念一服でドルの大幅安は想定しにくい。
18時発表のユーロ圏の4月鉱工業生産はマイナス継続が予想され、ユーロ売りに振れればドル選好気味となろう。
ただ、21時半の米5月輸入物価指数を受けインフレ鈍化の圧力で引き続き利下げに意識が向かいやすい。
一方、香港で拘束した容疑者の身柄を中国に引き渡す「逃亡犯条例」改正案をめぐる大規模デモが材料視され、リスク回避的な円買いにつながる可能性もあろう。
(吉池 威)【今日の欧米市場の予定】・18:00 ユーロ圏・4月鉱工業生産(前月比予想:-0.5%、3月:-0.3%)・21:30 米・先週分新規失業保険申請件数(予想:21.5万件、前回:21.8万件)・21:30 米・5月輸入物価指数(前月比予想:-0.2%、4月:+0.2%)・02:00 米財務省30年債入札(160億ドル、リオープン)・ユーロ圏財務相会合・日米貿易交渉閣僚級協議(ワシントン、現地午後)