8日の欧米外為市場では、ドル・円は戻りの鈍い展開を予想したい。
米中貿易交渉の不透明感に伴い世界的に株価が下押しされ、リスク回避的な円買い基調が継続。
安全通貨のドルも選好されるが、明日からの米中協議を見極めようとドルの買い戻しは限定的となろう。
市場の最大のテーマである米中貿易交渉は引き続き不透明感が広がり、9-10日の両国の協議が決裂すればトランプ政権は対中制裁関税に踏み切る公算。
足元では同協議の行方を見極める展開で、警戒感から円買い方向に振れやすい。
前日の取引では米国株が大幅続落となり、本日のアジア市場でも日経平均株価や上海総合指数が弱含み、リスク回避的な円買いの流れ。
ドル・円は本日午前中に心理的節目の110円を下抜け、109円台に下げた。
こうしたなか、正午に発表された中国の貿易統計では輸出が落ち込み、同国を起点とした世界的な景気減速が再び不安視される。
この後の海外市場でも、引き続き米中交渉をにらみ円買い基調が続くだろう。
欧州委員会が7日に公表した四半期経済見通しでインフレの鈍化は続くと指摘しており、当局者からはハト派よりの見解が見込まれるためユーロはドルの受け皿にはなりにくい。
このため、ドルには逃避マネーが流入しやすく、ドル・円は下落局面でも底堅い値動きとなりそうだ。
また、米株式先物はプラス圏での推移もみられ、今晩は米株の自律反発が見込まれるためドルの買い戻しが入る可能性もある。
ただし、市場センチメントの悪化で円買いに押されるとみられ、ドル・円の回復ペースは緩慢になるだろう。
(吉池 威)【今日の欧米市場の予定】・20:30 ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁講演・21:30 ブラード米セントルイス連銀総裁あいさつ(リッチモンド連銀主催会合)・02:00 米財務省10年債入札(270億ドル)・南ア総選挙