■要約
リネットジャパングループ (T:3556)は、「宅配リサイクルで世界を変える」をビジョンに掲げ、インターネットと宅配便を活用したリユース事業とリサイクル事業を複合的に展開している。
創業以来の主力である「ネットリユース事業」は、インターネット専業の「ネットオフ」ブランドで買取・販売サービスを手掛けており、リユース市場の拡大、ネット化の進展などを追い風としながら、中古本を中心とした幅広いジャンルをワンストップで取り扱う利便性の高さやローコストオペレーションにより順調に事業を拡大してきた。
一方、2014年より開始した「ネットリサイクル事業」は、小型家電リサイクル法の許認可取得により、「リネット」ブランドにて宅配便を活用した回収サービスを提供している。
全国の自治体と提携し、行政サービスの一環として展開しているところや各種サービス収入による独自のプラットフォームに特徴があり、いわゆる「都市鉱山」※として知られている潜在市場の大きさや参入障壁の高さ、国民の意識の高まり等により新たな成長ドライバーとして位置付けられ、「ネットリユース事業」とのシナジー創出においてもポテンシャルが大きい。
2014年10月には、第2の創業として、社名を「ネットオフ株式会社」から「リネットジャパングループ株式会社」に変更。
2016年12月には東証マザーズに上場し、新たな成長フェーズに入ってきた。
※日本の家庭に眠っている使用済みとなった小型家電に含まれる貴金属やレアメタルのこと。
1. SBIホールディングスとの合弁会社設立、次世代事業展開に向けて始動
2017年5月には、カンボジアでFinTechを活用した金融事業に参入するため、SBIホールディングス (T:8473)との合弁によるリース会社設立を決定した。
2017年夏を目標にカンボジア中央銀行よりリースライセンスを取得し、商用タクシーを中心としたリース事業から開始する予定である。
「収益性と社会性の両立」を意識した次世代の事業として、「小型家電リサイクル事業」と同時並行で準備を進めてきたが、こちらもいよいよ本格展開に向けて動き出した。
2. 2017年9月期は営業利益で前期比80.5%増の見通し
2017年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比13.6%増の4,236百万円、営業利益を同80.5%増の272百万円と増収増益を見込んでいる。
「ネットリユース事業」と「ネットリサイクル事業」がそれぞれ伸長する想定である。
利益面でも、「ネットリユース事業」の増収に伴う収益の押し上げのほか、「ネットリサイクル事業」の黒字転換により、大幅な営業増益を見込んでいる。
なお、第2四半期累計期間(上期)の業績については、若干計画を下回ったものの、ほぼ想定の範囲内での進捗となった。
弊社では、上期業績が堅調であったことや「ネットリユース事業」における商品在庫が順調に積み上がっていること、「ネットリサイクル事業」もプラットフォームが順調に立ち上がってきたことに加えて、東京オリンピック・パラリンピックに向けたプロジェクトの開始(2017年4月1日)により、国民の機運の盛り上がり(小型家電リサイクル制度の周知等)が期待されることから、同社の業績予想の達成は十分に可能であるとみている。
3. ネットリサイクル事業の本格的な拡大時期に注目
同社の成長軸は、1)ネットリサイクル事業の成長加速、2)ネットリユース事業の再成長、3)新規事業の立ち上げの3つである。
特に、「ネットリサイクル事業」の本格稼働に向けた啓蒙活動(利用促進)に加えて、「ネットリユース事業」とのシナジー創出が当面の成長戦略のカギを握るものとみられる。
弊社でも、「都市鉱山」として潜在市場が大きい上、参入障壁が高く、競合のないビジネスモデルである「ネットリサイクル事業」が、これからの同社の成長を大きくけん引するものと評価している。
今後の課題は、いかに消費者(国民)の機運を高め、サービスの認知や利用促進を図っていくのかにあるが、東京オリンピック・パラリンピックに向けたプロジェクトの動向が今後の試金石になるものと考えられ、その効果やスピードに注目している。
「ネットリサイクル事業」が本格的に成長軌道に乗ってくれば、これまでとは違った高収益モデルであるがゆえ、同社の収益性が一気に向上する可能性がある。
一方、新たに開始するカンボジアでの金融事業については、まだ具体的な事業計画の開示がないことから、現時点では事業拡大に向けた時間軸など不透明な部分が多い。
ただ、こちらも潜在的な市場が大きい上、与信管理の仕組みにも合理性があることから、軌道に乗ってくれば3本目の柱となる可能性は高い。
したがって、しばらくはその動向もフォローしていきたい。
■Key Points
・「ネットオフ」ブランドにて、インターネットと宅配便を活用したリユース事業を展開する業界の
パイオニア
・全国の自治体と連携し、独自のプラットフォームによる「小型家電リサイクル事業」も展開
・直近では、カンボジアでFinTechを活用した金融事業にも参入
・収益性と社会性の両立を意識した事業の立ち上げにより、同社は新たな成長ステージに入ってきた
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
リネットジャパングループ (T:3556)は、「宅配リサイクルで世界を変える」をビジョンに掲げ、インターネットと宅配便を活用したリユース事業とリサイクル事業を複合的に展開している。
創業以来の主力である「ネットリユース事業」は、インターネット専業の「ネットオフ」ブランドで買取・販売サービスを手掛けており、リユース市場の拡大、ネット化の進展などを追い風としながら、中古本を中心とした幅広いジャンルをワンストップで取り扱う利便性の高さやローコストオペレーションにより順調に事業を拡大してきた。
一方、2014年より開始した「ネットリサイクル事業」は、小型家電リサイクル法の許認可取得により、「リネット」ブランドにて宅配便を活用した回収サービスを提供している。
全国の自治体と提携し、行政サービスの一環として展開しているところや各種サービス収入による独自のプラットフォームに特徴があり、いわゆる「都市鉱山」※として知られている潜在市場の大きさや参入障壁の高さ、国民の意識の高まり等により新たな成長ドライバーとして位置付けられ、「ネットリユース事業」とのシナジー創出においてもポテンシャルが大きい。
2014年10月には、第2の創業として、社名を「ネットオフ株式会社」から「リネットジャパングループ株式会社」に変更。
2016年12月には東証マザーズに上場し、新たな成長フェーズに入ってきた。
※日本の家庭に眠っている使用済みとなった小型家電に含まれる貴金属やレアメタルのこと。
1. SBIホールディングスとの合弁会社設立、次世代事業展開に向けて始動
2017年5月には、カンボジアでFinTechを活用した金融事業に参入するため、SBIホールディングス (T:8473)との合弁によるリース会社設立を決定した。
2017年夏を目標にカンボジア中央銀行よりリースライセンスを取得し、商用タクシーを中心としたリース事業から開始する予定である。
「収益性と社会性の両立」を意識した次世代の事業として、「小型家電リサイクル事業」と同時並行で準備を進めてきたが、こちらもいよいよ本格展開に向けて動き出した。
2. 2017年9月期は営業利益で前期比80.5%増の見通し
2017年9月期の業績予想について同社は、売上高を前期比13.6%増の4,236百万円、営業利益を同80.5%増の272百万円と増収増益を見込んでいる。
「ネットリユース事業」と「ネットリサイクル事業」がそれぞれ伸長する想定である。
利益面でも、「ネットリユース事業」の増収に伴う収益の押し上げのほか、「ネットリサイクル事業」の黒字転換により、大幅な営業増益を見込んでいる。
なお、第2四半期累計期間(上期)の業績については、若干計画を下回ったものの、ほぼ想定の範囲内での進捗となった。
弊社では、上期業績が堅調であったことや「ネットリユース事業」における商品在庫が順調に積み上がっていること、「ネットリサイクル事業」もプラットフォームが順調に立ち上がってきたことに加えて、東京オリンピック・パラリンピックに向けたプロジェクトの開始(2017年4月1日)により、国民の機運の盛り上がり(小型家電リサイクル制度の周知等)が期待されることから、同社の業績予想の達成は十分に可能であるとみている。
3. ネットリサイクル事業の本格的な拡大時期に注目
同社の成長軸は、1)ネットリサイクル事業の成長加速、2)ネットリユース事業の再成長、3)新規事業の立ち上げの3つである。
特に、「ネットリサイクル事業」の本格稼働に向けた啓蒙活動(利用促進)に加えて、「ネットリユース事業」とのシナジー創出が当面の成長戦略のカギを握るものとみられる。
弊社でも、「都市鉱山」として潜在市場が大きい上、参入障壁が高く、競合のないビジネスモデルである「ネットリサイクル事業」が、これからの同社の成長を大きくけん引するものと評価している。
今後の課題は、いかに消費者(国民)の機運を高め、サービスの認知や利用促進を図っていくのかにあるが、東京オリンピック・パラリンピックに向けたプロジェクトの動向が今後の試金石になるものと考えられ、その効果やスピードに注目している。
「ネットリサイクル事業」が本格的に成長軌道に乗ってくれば、これまでとは違った高収益モデルであるがゆえ、同社の収益性が一気に向上する可能性がある。
一方、新たに開始するカンボジアでの金融事業については、まだ具体的な事業計画の開示がないことから、現時点では事業拡大に向けた時間軸など不透明な部分が多い。
ただ、こちらも潜在的な市場が大きい上、与信管理の仕組みにも合理性があることから、軌道に乗ってくれば3本目の柱となる可能性は高い。
したがって、しばらくはその動向もフォローしていきたい。
■Key Points
・「ネットオフ」ブランドにて、インターネットと宅配便を活用したリユース事業を展開する業界の
パイオニア
・全国の自治体と連携し、独自のプラットフォームによる「小型家電リサイクル事業」も展開
・直近では、カンボジアでFinTechを活用した金融事業にも参入
・収益性と社会性の両立を意識した事業の立ち上げにより、同社は新たな成長ステージに入ってきた
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)