[ルクセンブルク 4日 ロイター] - 課税逃れに対する欧州連合(EU)の規制について、域外のタックスヘイブンを使った不正には効力がないとの批判が、反汚職団体や政治家らの間で高まっている。オフショア企業の設立に特化したパナマの法律事務所から「パナマ文書」が流出したことが背景。 反汚職に取り組む国際非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナル(TI、本部ベルリン)は、欧州委員会が来週公表を予定している規制案をウェブサイトで公開した。 これによると、EU域内の多国籍企業に対し、事業を展開しているEU各加盟国での納税と金融データの公表義務付けが検討されている。一方で、域外については総額のみの公表で良いことになっている。 TIは声明で「EU加盟国に関するリポートは28本提出するのに、他の国々については1本だけで良いというのはおかしい」と異議を唱えた。さらに「今回の法制化の目的は歪められ、企業は引き続きタックスヘイブンを隠れみのにするだろう」と述べた。 法案の対象企業は年間の売上高が7億5000万ユーロ(8億5500万ドル)以上に限定されており、NGOのオックスファムは「対象が狭すぎ、欧州委は本当に不正防止を目指しているのか疑わしい」と批判した。 欧州委は、世界におけるEU域内企業の競争力を損なうことなく納税の透明性を高められるよう、規制の影響を査定したと説明。規制案は「バランスの取れた内容」であり、「目的、メリット、リスク、あらゆる行動に対する保障措置などを慎重に比較検討した結果」であるとした。
※英文参照番号